探偵Lの映画ブログ

カナダ在住の映画&ドラマオタクが探偵気分で映画をレビューするブログ

YouTubeと英語のはなし。

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カナダに来て一番わたしの生活を変えたのは…

YouTube(ユーチューブ)!!!!


いや、ほんとに。
わたしの当時の留学生活を支えたのはある意味YouTubeだと言っても過言ではない!!

実際、海外留学やワーホリ経験のある人は一度はお世話になっているはず。笑
(わたしのまわりではほぼ100%)


海外生活からの現実逃避だったり、
暇つぶしだったり、
英語の勉強だったり。


理由はいろいろでしょうが。


わたしは、YouTubeは英会話上達のためのかなり有効な教材になると思います。
しかも無料!!!!(←これ重要)


正直、日本にいた時なんかYouTubeなんて1ヶ月に1回開くかどうか。

 

わたしがYouTubeを観るのは

好きな歌手のMVを観たいとき、映画の予告編を観たいとき、
ダンス動画(昔ヒップホップダンスをやってたのでw)が観たいとき、
くらいなもんでした。


当時のわたしは、そもそもYouTubeに有用な情報なんて期待してなかった。

最近はユーチューバーがTVに出たりして随分状況が変わってきているんでしょうが、当時は今ほどYouTubeにオープンな印象はなかったと思います。(もう5年以上前のことです)


印象としては、


「歌ってみた」「踊ってみた」系か、過激な実験系、いたずら系、がメイン。

普通の大人は見ないだろーて感じの動画ばっかり。だと思っていた。


とか言いつつ、


カナダに来てからは日本語が恋しいのと、友達少なくて暇だったのもあって、
YouTubeで日本のテレビ番組を観漁っておりました。笑


が、しかーーーーーーーし!!!


そんなある日、
現地の友達と何かの料理(もう忘れたw)を作ろうって話になり
レシピを探すと言ってまず検索したのが


YouTube!!!?


当時、YouTubeをまぁ侮っていたわたしは
「え、そこ探したってろくなの出てこないだろーw」
と思っていました。


が、プロっぽくて美味しそうなレシピ動画がわんさか出てくるではありませんか!!


しかも動画の質(カメラワークやらセットやら)が高い!!
テレビ番組並み!!


友達は、YouTubeはかなり使えると言っていて、
英語の練習も含め、わたしもちょこちょこ英語の動画を観るようになった。


詳細な商品レビューやプロによる専門的なレクチャーなど、わたしの印象とまったく異なるまじめな内容も豊富。
(もちろん日本の比じゃ無いレベルのいたずら動画や過激動画も多数w)


そして…

面白いじゃないか、と。


それからはお気に入りのチャンネル、ユーチューバーがどんどん見つかり。。。
深くハマっていく。。。笑
(YouTubeのおすすめ予測能力はおそろしく的を得てて危険w)


そのうち、英語を聞くことのアレルギーや疲労がなくなってきて、
今までなんとなくだったネイティブの英語も聞き取れるようになって来ました。


そして、


YouTubeが実はわたしの英会話の上達にかなり役立っていたことに気付いたのです。


「言葉のバリエーションや使い分け」
「発音」「ニュアンス」「スラング」


勉強してても分からなかった部分がクリアになって来た。
何と言っても、英語に慣れます。


正直な話。
語学学校やら留学生コミュニティは基本的に英語が第一言語じゃない人たちの集まりです。
彼らとの日常会話でどんなにおかしな英語を話していても、気付かなかったりします。
そこでスラングやら略語なんて、まぁ使わないです。知らないし。笑

(私たちが思っているよりずっと、ネイティブの若者はスラングを使う頻度が高いなーと思います。)


英語のリズムが分からない。
ネイティブの英語が聞き取れない。
そんな人にはYouTubeのおすすめです。


もちろん
テレビや映画、ドラマを観るのも有効だと思います。


でも!!


Netflixに登録するよりも、
テレビを買うよりも。
断然お得。


だって、無料なんですもの!!!!(誰w)


そんなこんなで、
今ではほぼ毎日テレビ代わりにYouTubeを観ております。笑

(子供向けの番組もかなりあるらしいので、気軽に英語に触れるって意味では子供にも良さそう。)


なんだか信者のような褒めちぎりっぷりですが、わたしには合っていたのだと思います。

ものすごい人見知りなので。


チューターつけたりランゲージエクスチェンジに行ったりするよりも、家でひっそり動画を見ながら発音の練習をする方がわたしには合っていた。笑

(もちろん、リスニングや発音練習だけじゃなく実際のアウトプットは大事!)


今後、わたしの個人的なおすすめチャンネルも載せていこうと思います!!

【作中にない事実&ネタバレあり】Netflix『シカゴ7裁判』アカデミー賞ノミネート!実際に起きた悪名高い政治裁判の記録

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1968年にシカゴで起きたベトナム戦争の抗議デモ。そこで起きた警察とデモ隊との暴動を扇動した疑いで、7(8)人の政治活動家が逮捕された実在の事件。

実話とは思えないほど国側の訴えは理不尽なもので、市民からの大きな反感を買った悪名高い裁判。

 

数々のメディアで2020年のベストムービーの一つに選ばれ、アカデミー賞作品賞にもノミネートされた今作。(受賞は逃したけど)

難しい専門用語が飛び交いダラダラとつまらない作品になりがちな裁判映画を、見事にエキサイティングで感動的な作品に仕上げたアーロン・ソーキン監督さすが!!

ソーシャル・ネットワーク』でもそうだったけど、台詞の応酬が面白い。当時の実際の映像や写真も所々使っていて、実在の人に本当に起きた事件なんだと実感する。

 

 

アメリカの大統領選に合わせてきたな!というメッセージ製も強い作品だったかと。

この裁判の背景には、ベトナム戦争や人種差別、資本主義の闇などアメリカの汚いところがこれでもかと盛り込まれている。 それでも、表現の自由を訴え続けた若者達の熱意に脱帽!

でも、これが有色人種相手の被告団だったら国は裁判さえ行わなかった可能性もあるだろうなーとか思ってしまったりもする…

 

作中には出てこなかった裁判の裏話とシカゴ7のその後についても掘り下げてみました。

びっくりな事実が満載でしたー!

 

 

 

 

あらすじ

1968年8月28日、イリノイ州シカゴで行われた民主党の全国大会ではベトナム戦争についての議論が交わされていた。会場近くのグランド・パークでは、戦争に反対する活動家・市民がデモのために集結したが、会場に押しかけようとした一部のデモ隊と警官が衝突し、暴動となった。多数の負傷者を出したこの暴動を扇動した容疑で、8人の活動家が告訴される。

 

 

キャスト

今作のキャストは超豪華の上に、みんな演技派だから一人ひとり称賛したい部分がたくさんある!そのためちょっと長めのキャスト紹介ですが悪しからず。笑

 

アビー・ホフマン【サシャ・バロン・コーエン】

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青年国際党(イッピー)の共同設立者。シカゴの暴動を先導した罪で告訴される。

 

ボラット』の続編も公開(Amazonプライムのみ)し、ノリに乗っている彼。政治的な作品を多く制作・出演する俳優さんだし、今作でも超適役!ジェリーとのコンビも息ぴったり!

アカデミー賞助演男優賞にノミネートされてたけど受賞は逃したコーエン。でも個人的にはこのキャラ最高だった!

出演作:『ディクテーター 身元不明でニューヨーク』、『マダガスカル』、『ボラット』など

 

トム・ヘイデン【エディ・レッドメイン】

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シカゴでの戦争反対のデモに参加した活動家の一人。

 

大人気のイギリス人俳優。今作もエディが出てるから観たって人も多いはず!完全に役になりきった、覚悟を感じる演技は相変わらず。

出演作:『リリーのすべて』、『博士と彼女のセオリー』、『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』など

 

ジェリー・ルービン【ジェレミー・ストロング】

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アビーと共にデモに参加したイッピーの共同設立者。

 

作中ですごくいい味だしてたキャストの一人。コメディ作品を中心に活躍中のアメリカ人俳優。

この作品が重過ぎず仕上がったのは、コメディ要素をになったジェリーとアビーのコンビがいたから。

出演作:『ザ・ジェントルメン』、『サクセッション』など

 

レニー・ディヴィス【アレックス・シャープ】

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トムと共に抗議活動を行なっていた反戦活動家。

 

ブロードウェイを中心に活躍しているイギリス人俳優。

活動家といえば血気盛んなイメージだけど、オタクっぽくて大人しい性格のレニーを好演。

出演作:『The Curious Incident of the Dog in the Night-Time(ショー)』

 

ボビー・シール【ヤーヤ・アブドゥル=マティーン2世】

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ブラックパンサー党を結成した公民権運動の指導者。演説のためにイリノイ州に4時間滞在していただけだったが、殺人容疑までかけられ逮捕される。

 

最近の活躍がめざましいアメリカ人俳優。

法廷でのボビーの扱いは本当にひどい。理不尽な扱いにも勇敢に立ち向かうボビーの姿は凛々しい。

出演作:『ブラックミラー』、『ウォッチメン』など

 

リチャード・シュルツ【ジョセフ・ゴードン・レヴィット】

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対”シカゴ7”、アメリカ合衆国側の検察官。

 

若くして本件の検察官に任命されつつも、本人は被告への同情が隠しきれない複雑な役所。 個人的に大ファンのジョセフ・ゴードン・レヴィット。真面目でお堅い役柄がよく似合う。

出演作:『インセプション』、『ダークナイト ライジング』、『スノーデン』など

 

ウィリアム・クンスラー【マーク・ライランス】

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”シカゴ7”側の弁護士。

 

ナイトの称号を持つイギリス人俳優。

主張しないけど確実に存在感を残すこの人の繊細な演技は相変わらず素晴らしい。

出演作:『ブリッジ・オブ・スパイ』、『ダンケルク』など

 

ジュリアス・ホフマン【フランク・ランジェラ】

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今裁判の判事。

 

アメリカの超ベテラン俳優。

悪びれる様子もなく理不尽な判断で裁判を進める憎たらしいホフマン判事の演技素晴らしかったわ。

出演作:『ドラキュラ【Blu-ray】 [ ゲイリー・オールドマン ]』、『フロスト×ニクソン』など

 

 

作中にない事実【ネタバレあり】

スピルバーグが監督の予定だった

2007年にアーロン・ソーキンが脚本を作成。監督にはスティーヴン・スピルバーグの名前が上がっており、サシャ・バロン・コーエンの出演が決まったと言われていたけど、当時全米脚本家組合がストライキを起こしていた関係で製作が延期。結局スピルバーグ監督も降板となり、監督が決まらないまま製作ストップ。

 

約10年後の2018年、アーロン・ソーキン本人が監督として製作を再開するが、製作費の関係で製作が中断することも。その後なんとか配給先が見つかり

 

度重なる俳優陣の変更

製作費を抑えるために俳優の変更が度々行われた今作。

スピルバーグ監督になる予定だった当初、ボビー役はウィル・スミス、トム・ヘイデン役には今は亡きヒース・レジャーがキャスティングされる予定だったけど、制作の中止と監督の交代で無しに。

 

その後、アーロン・ソーキン監督の製作が決まってからは初期からキャスティングされていたサシャ・コーエンとエディ・レッドメインの出演が確定。ジェリー役にキャスティングされたカナダ人コメディアンのセス・ローゲンの代役にジェレミー・ストロングが決まり、その後今のキャストに決定したらしい。

 

シカゴ7(8)裁判関係者のその前とその後

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左上からジェリー、アビー、トム、レニー/ 左下からボビー、リー、ジョン、デイヴィッド

この裁判に登場した被告人達はみんな政治活動家(革命家)だし、その後の人生も彼らは実際に一筋縄ではいかない波乱万丈の人生を送っていた!

 

アビー・ホフマン

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星条旗柄のシャツを着た本人。サシャ・コーエン似過ぎ!!

ユダヤ人系の家系に生まれる。大学時代に学生運動に参加し、政治活動家となる。ジェリーと共に青年国際党(イッピー)の共同設立者となる。

 

裁判後、ウッドストックフェスティバル似てロックバンドThe Whoのステージを中断させ、ホワイトパンサー党(無人種差別を掲げる党)の党員釈放を訴えた。

 

晩年は双極性障害に悩まされ、52際で亡くなっている。死因は薬品の大量摂取による自殺とみられ、遺体のそばには200ページにわたる遺書が残されていたそう。

 

トム・ヘイデン

1960年、ミシガン大学生時代にベトナム戦争に反対する学生民主主義団体SDS(Students for a Democratic Society)の設立に関わるり、卒業後も反戦活動や黒人の公民権運動に参加。シカゴ暴動の数年前、反対を押し切り戦時中にベトナムを訪れている。

 

作中にはクンスラー弁護士が暴動を先導した証拠となる録音テープが出てくるシーンがあるが、実際には「我々の血」(Let us make sure that if our blood flows, it flows all over the city)と言っていたらしい。

 

裁判の後はカリフォルニア州の議員として6度の当選。著作も数多く残している。

3度結婚(モテ男じゃん)しており、最初の妻は女優のジェーン・フォンダ(あの『グレース&フランキー』の!?)。彼女との間に生まれた息子のトロイは俳優。

2016年に76歳で亡くなった。

 

レニー・ディヴィス

裁判後、70年代にはスピリチュアルに目覚め教祖マハラジを師事しその後「ニューヒューマニティ」を創設。

 

ジェリー・ルービン

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この違いよ!!

今作ではボケ担当なジェリーだけど、実際は学生時代に両親を失い弟の保護者役をしていたしっかり者。見た目はともかく、本人と一番かけ離れてたのはジェリー。

 

裁判後、70年代には政治活動から退き実業家として成功。ジョン・レノン、オノ・ヨーコ夫妻とも交流があったそう。アビーと「イッピーvsイッピー」と称してディベートをしたことがある。アビーが亡くなった際は葬式にも参列した。

 

1994年、カリフォルニアで交通事故に遭い入院。その2週間後に心臓発作で56歳で亡くなった。

 

ボビー・シール

公民権運動を率いたブラックパンサー党の議長。党は黒人の貧困層向けに無料の病院や、朝食の無料提供などを行なっていたが、FBIの監視対象となる。

 

シカゴ7裁判中で4年の実刑を受けている最中も同党員殺害の罪で起訴され死刑判決を受ける。が、世論の強い反対を受け異例の釈放。その後も、黒人の人権のために活動を続けたボビーは度々政府から標的にされ続けた。

2000年代に入ってからは、大学等で自身の経験について講義を行なっている。

 

シュルツ検事

若くしてアメリカの検事長になっていたシュルツ検事は、シカゴ暴動が起きた当時付近のヒルトンホテルに滞在中で実際にその様子を見ていたそう。

 

当裁判での検察側に対する市民の対応は酷いものだったようで、裁判後はすぐに検事を辞め個人弁護士に転身しているので、よっぽどこの裁判がトラウマだったのでは。笑

 

また、この作品についてもシカゴトリビューンのインタビューで言及していて、「トム・ヘイデンがベトナム兵の犠牲者の名前を呼ぶと言うラストのシーンは実際には無かった。完全にハリウッドの空想だね。」と語っています。いいラストだったからちょっと残念。

 

ちなみに、ボビーが法廷で猿ぐつわをされた有名なシーンについては「法廷が人種差別をしていると見せるため、弁護側によって仕組まれていたこと。」「それでも見ているのは辛かった。」とも。

 

このインタビュー面白い。

弁護団の中で唯一存命なのはシュルツ氏。82歳になったシュルツ元検事のインタビューはこちら。

www.chicagotribune.com

 

余談

正直、「シカゴ7」ていう呼び方はどうかと思う。一番ひどい目にあってるボビー・シールがその中にも入れてもらえてないのは、黒人差別なのかな?とも思ったり。彼だって他のメンバーと同じ思いでシカゴに向かっていたわけで、むしろこの8人の中で唯一現場にいなくて一番暴動に関係のない活動家の一人だったはず。(だからシカゴ7なのかもしれないけど)

 

逮捕後も他の7人は刑務所に入ってないのに、ボビーだけ裁判中ずっと刑務所だし(罪が殺人罪だからかも)。

 

当時は黒人人権活動家の暗殺が多数起きていて、マーティン・ルーサー・キング牧師の暗殺もあった影響で黒人と白人の間にはかなり強い敵対意識があったはず。(詳しくはNetflixのドキュメンタリー『13th』を見ることを強くおすすめします!)

 

もしこのシカゴ7が全員黒人だったとしたら、この裁判はこんなに長引くこともなく即実刑。5年と言わず10年しっかり刑務所に送られてたでしょう。(いまだに黒人被告に対してのこの傾向は残ってるけど)

 

 

感想

今年見た映画の中でも一番良かったかもしれない。

大統領選挙を控えたアメリカで、黒人の人権運動(Black Lives Matter運動)があったり、警官の職権濫用についての議論があったりした今年、なんともパーフェクトなタイミングで公開されたと思う。

むしろ合わせて来たな、と。笑

 

お堅いテーマの作品なのにコメディ要素を折り込みながら面白おかしく描いていて、それでも心を突き動かされるような感動的な作品に仕上がってたのは、さすがアーロン・ソーキン監督。所々出てくる実際の映像や写真を見て、本当に起きたことなんだと思い知るし、だからこそストーリーにも引き込まれた。

 

キャストも豪華で、一人一人が存在感のある演技で作品を盛り上げてたと思う。

実際どうだったかはともかく、キャラクターがそれぞれ典型的なオタクだったり、血気盛んな革命家だったり、正義感の強い父親だったり、個性的で面白い。

 

イッピーは大麻吸ってピース唱えてるだけのハイな集団かと思いきや、ちゃんとデモの仲間を助けたりする姿もあったりして、すっかりシカゴ7に感情移入してしまいました。特にアビーとジェリーのコンビが最高。裁判の証人として次から次へとアンダーカバーの警察官やFBIが出てくるのは笑えた。卵の話するFBIの美女ダフネの下りとか(ダフネかわいい)。笑

 

実際は、判事が極端に検察側に有利に動いたのも、本当はもっと上の人からのプレッシャーがあったりしたんじゃないかなーとも思ったり。シュルツ元検事のインタビューを読んでても思ったけど、映画では活動家達の弁護側が「善」、国側の検察は「悪」として描かれているし、当時のメディアもそう報じていたんだろうけど、実際はお互い様だったんじゃ無いかなー。もちろん国の訴えは明らかに理不尽なものだけど、劇中のシュルツ検事のように、 個人的な意見は差し引いて頑張ってたんだろうな。笑

 

アメリカって「自由の国」と言われているものの、実は国や権力者が市民の権利を踏みにじろうとするケースが多々起きてる。どんな国でもあり得る話だけど

 

。相手がどんなに大きい力を持っていようが、民主主義のもとでは誰にでも発言権があるわけで、おかしいことはおかしいって言うべきだし、市民の声は政治に反映されるべき。その点今のインターネットの力は素晴らしいと思うけど、何十年も前にこうやって体張って頑張ってきた人たちがいたから今があるんだと思う。

 

 

評価

☆星 4.8 個☆

 

※リズム感のある展開に目が離せない。

※裁判映画なのにコミカルでエキサイティング!俳優人が一人一人映えていて、個性的なキャラクターが面白い。

【ネタバレあり】『エイリアニスト:暗闇の天使』待望のシーズン2!!今度は赤ん坊の失踪事件

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映像美とダークな世界観に引き込まれた『エイリアニスト 』の新作がネットフリックス に登場!!

 

1800年代後半のニューヨークが舞台の犯罪ミステリー。グラフィックな描写のリアルさと心理学を使った推理が面白くてハマったシーズン1から、ずっと待ちわびてた新作。

 

シーズン1のネタバレ感想はこちら↓↓

mobayuri.hatenablog.com

 

 

今回のストーリーは、探偵に転身したサラが主人公。

シーズン1も少年の連続殺人だったけど、今回の被害者は赤ちゃん。子供が被害者の事件ってやだよねー。今回もモヤモヤする嫌な事件だったから、さっさと終わらせたくて一気に観ました。笑

 

 

 

 

ストーリー

赤ん坊殺しの罪で死刑になった女性から、自分の赤ん坊を探すよう頼まれたラズロー。

そんな中、探偵事務所を開設したサラはスペイン領事の妻から誘拐された幼児の捜索依頼を受ける。

 

キャスト

ラズロー・クライズラー【ダニエル・ブリュール】

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偏屈な精神科医。精神を病んだ子供の世話をするという優しい一面も持つ。

気難しいエイリアニストが、今シーズンでは少しだけ丸くなってる!?

 

出演作:『グッバイ、レーニン!』、『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』など

 

 

ジョン・ムーア【ルーク・エヴァンズ】

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ラズローの友人でニューヨーク・タイムズの記者。ライバル紙の令状と結婚予定だが、サラを気にかける。

相変わらずのイケメン。今シーズンでは肉体美も披露。(一瞬)

 

出演作:『ホビットシリーズ』、『ワイルド・スピード』、『美女と野獣』など

 

 

サラ・ハワード【ダコタ・ファニング】

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ニューヨーク市警初の女性職員。ラズロー達の捜査に協力するため警察の情報を手に入れる。

今シーズンのメインキャラ。気の強さに拍車がかかってるサラの活躍に注目。笑

 

出演作:『アイ・アム・サム』、『トワイライトシリーズ』、『オーシャンズ8』など

 

 

 

〜ここからネタバレあり〜

 

 

感想【ネタバレあり】

登場人物

ラズローは相変わらず偏屈なエイリアニストだけど、ジョンはタイムズ紙の記者となり、現在ライバル紙の令嬢と婚約中。NY市警を辞めて探偵に転身したサラを取り巻く事件がメインの今シーズン。今度のサラは補佐ではなく自ら犯人に立ち向かっていく。シーズン1とは立場逆転で、ラズローとジョンはサラの捜査をアシストするといった感じ。

 

でも、なぜか元の設定と関係なくなっちゃってるところも…

元々片腕が悪いラズローだったけど、今回そんな様子は一切無し。あのおしゃれな杖も使わないし。ラズロー特有のウザイ心理分析も今シーズンは控えめだった気が。てか、捜査に関してラズローの活躍が少ない。そこはちょっと残念。

 

前作のキーキャラクターだったルーズベルトは全然出てこず。1話でチラッと名前が出てくるくらい。終始大活躍だった悪警官バーンズが、今シーズンで少しいいやつに見えた。あの俳優さん、憎たらしい感じがうまかったなー(口髭がまた似合ってる。)。

 

ジョンは、今シーズンでやっと想いが報われてサラと両思いになるんだけど、そもそも婚約してるのにまだサラのことを未練がましく追いかけるのも謎だし、サラも自立した強い女性になりたいのかもしれないけど、強がりな嫌な女になっちゃってた気もする。笑

最終的にジョンはバイオレットと結婚することになるんだけど、結局この方が良かったと思う。最終的に一緒にならない方がお互いのためになるみたいな関係ってあるよね。そんなタイプだよこの二人は。(え)

 

そういえば、ラズローのもとで働いていたサイラスはバーの店主になってたし、姪はライターに。前回女装させられてた少年スティービーはすっかり青年スティービーに(別の俳優だったけど)。

 

 

女性が活躍する捜査

今回はサラが始めた探偵事務所の事件がベースになったストーリー。サラ以外にもアシスタントであるビッツィーが潜入捜査をしていたり、犯人も女性だから必然的に”ガールズパワー”な作品になってる。

 

サラにフラれたジョンが婚約したお金持ちの令嬢(いつもおしゃれして美味しいもの食べてて小型犬飼ってるタイプ。笑)と、独り身でキャリアに邁進するサラとのコントラストは明らか。サラが自立した強い女性として描かれてはいるんだけど、ジョンへの気持ちに気付き始めるサラが、結婚して家族を持つ幸せと探偵としての仕事に集中することとの間で迷う姿はすごく共感できた。

一方で、赤ん坊を奪われる母親は、無力でただ泣き叫ぶことしか出来ない「かよわい存在」として描かれているのはちょっとなー。

 

婚約パーティでサラに婚約者バイオレットは相応しくないって言われた時に返したジョンの言葉は刺さる。いつも強がっているサラも、痛いところを突かれたって感じだったね。笑

当時のニューヨークはまだ何事も男性主流だったはずだし、今も昔も女性は母としての幸せとキャリアの成功どちらも手に入れられないって言う社会のスタンダードはある。その間で揺れ動くサラに共感した人は多かったはず。

ちなみに、個人的には相変わらずおしゃれな女性キャスト(サラとかリジーとか)のドレスにも注目!カレン・ストラットン教授の囲み目アイラインメイクもよかったなー。

 

 

悲し過ぎる事件

今回は犯人も女性。凶悪犯は男性なことが多いけど、この事件みたいに女性だって十分卑劣な犯罪者になれる。リジーは最初ピュアな可愛い女性だと思ったのに、そこからの豹変ぶりにはゾッとした。確かにこの人なんか怪しかったんだよなー。

やってることは病的なんだけど、動機が悲しい。子供が欲しくてもできないとか死産だったとかで、精神的に大きな影響を受ける女性は多いだろうし、医療の整ってなかった時代は余計多かったはず。一方でリジーみたいに子供に執着して、子供を自分の分身とか所有物とかって思っちゃう人もいるだろうけど。(ギャングのボス最初はすごい嫌なやつだったけど、最後までリジーに尽くす姿はちょっとだけかっこいい。)

 

悪の根源はリジーの母親なんだけど、子供が欲しいわけじゃないのに女性の役目として子供を産んで(たとしたら)、その重圧から抜け出したかった母親の精神状態も理解出来なくはないかも。女性だから、妻だから、子供を産んで育てることが当然だという世間のステレオタイプはあっても、それに向いてる人向いてない人はいるからね、結局。(男性がみんな機械に強いわけでも、DIYが得意なわけでもないのと同様)

 

なんの罪もない幼い子供がターゲットになって、犯人の都合で勝手に殺されるっていうのも十分ダークで気が滅入る内容ではあったけど、一番泣けたのは双子のマーカスがグーグーに打たれて死んじゃうシーン。ルシアスが「一人にしないでくれ」て言うのがかわいそうでかわいそうで…

それにもう今後のシリーズにマーカスの出番がないのかと思うと…辛い。泣

 

 

まとめ

ダークな雰囲気はシーズン2から引き続きなんだけど、ストーリー的には前作ほど引き込まれる要素がなかった気がする。前回も結末があっけなかったのは若干不満ではあったけど、今回は最後にいろんな疑問が残る。

 

犯人リジーについても謎多め。なんであの病院で働いてたの?なんでわざわざ高貴な家の子供ばっかり狙ってたの(病院の患者だったとしても、追われるリスク高過ぎ)??そもそも娘クララの父親は誰だったの???リジーが犯人だって分かってから、後半は彼女を捕まえることが焦点になるんだけど、リジー一切変装とかしてないし、新聞に顔が載ってたなら通行人から通報ありそうなもんだけどね。笑

 

それに、このドラマはエイリアニストの心理分析がシーズン1での見所だったのに、今回はその要素は格段に少ない!そこはもったいなかったなー。犯人も早い段階で分かったことで、後半ちょっとダラダラしてしちゃった感じ。

 

ラストで繁盛し始めた探偵事務所でサラが言う一言は感動的。何事も変化・進化していくんだし、それでいいんだ。最後に出てくるキティ・バーンズは、警視総監バーンズの娘の一人かな。(病院で、娘が5人いるって言ってたし)

 

最後、ラズロー、ジョンは新しい生活を始めることになって、3人ともバラバラの道を進んでいくことになるわけだけど、終わり方からしてもうこれで完結か、当分続編は制作されなそう…

でも、これまでのシーズンで、ラズローメイン、サラメインの事件が来たから、次はジョンがメインの事件はどうですかね?ラズローの新恋人カレン・ストラットン教授も加わって推理するのもあり!

とにかくこのまま終わりになっては欲しくない!続編求ム!!!1笑

 

 

実際に起きた類似事件

女性が自分の子供が欲しいがために事件を起こすケースは実はそんなに珍しい話じゃない。日本でも角田光代の『八日目の蝉』て言う小説があるけど、赤ちゃんを誘拐して自分の子供として育てるって言うのは意外と実際にもある事件。

Netflixドキュメンタリー『未解決ミステリー』のシリーズ2で、「奪われた子供たち」て言う回でも子供の誘拐について似た事例が紹介されています。(泣ける。悲し過ぎる。)

 

また、この事件はそれを遥かに上回る残虐さながら同じような動機による事件です。

2004年、臨月を迎えたボビー・ジョー・スティネットを殺害してお腹の子供を取り出し自分の子供として奪おうとしたリサ・モンゴメリー死刑囚は、最近死刑の執行日(2020年12月8日に執行予定)が決まって再度話題に。アメリカの連邦政府によって女性の死刑が執行された例はわずかだけど、今回は1953年以来約70年ぶりのこと。

globalnews.ca


評価

☆星 3.5 個☆

 

※シーズン1と比べてやや物足りなさの残るストーリー。でも俳優人の演技は秀逸!!

※エイリアニストとしての見所である心理分析が少なめで残念。