探偵Lの映画ブログ

カナダ在住の映画&ドラマオタクが探偵気分で映画をレビューするブログ

Netflix 『アンビリーバブル たった1つの真実』 心を揺さぶられる衝撃の実話!

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実話が元となった今作。

原作は、ピューリッツァー賞を受賞した話題作です。

性犯罪という重い題材ではあるけど、迷っているなら見るべき!

 

 

作品の中でも「脊椎に入った銃弾のようにずっと傷は残り続ける」と語られるように、性犯罪は目に見える傷跡さえ無くとも、被害者が背負う精神的なダメージやその後の人生にもたらす影響は計り知れない。

 

 

社会性のある内容でありながらエンタテイメントとしても十分面白く、見応えありです。

そして何より出演者の繊細な演技が素晴らしい。

 

 

Netflixは本当にこの手の作品のクオリティが高い!

女性がメインの話ですが、男性にも観てもらいたい。オススメです!

 

 

 

 

 

 

 

ストーリー

マリーはレイプ被害を警察に通報するが、事情聴取を進めるうちに刑事達に嘘の供述を疑われてしまい、彼女も作り話だったと証言。その後、警察から虚偽証言を訴えられてしまう。

数年後、別の州で連続レイプ事件が起こり二人の女性刑事が捜査を始める。

 

 

 

キャスト

キャストも女性がメインの今作。

主演女優さんたちの演技がとにかく素晴らしい。

セリフが少ないシーンでもリアルな感情表現や繊細な演技で作品にすごく引き込まれた。

ゴールデン・グローブ賞、エミー賞にもノミネートされていた主演女優達。納得の演技でした。

 

 

マリー【ケイトリン・ディーヴァー】

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レイプ被害を通報するも証拠が不十分なことから偽装を疑われてしまい、作り話だったと証言。警察からは虚偽証言をしたとして訴えられる。生みの親に虐待を受け、里親のもとを転々としながら育つ。

 

ティーンの不安定で複雑な感情をすごくナチュラルに演じていた彼女。圧巻の演技力。小柄であどけない表情が印象的ですが、実は現在23歳(撮影当時は20歳くらい?)。昨年公開の『ブックスマート』でも高校生役を演じてます。

 

カレン・デュバル刑事【メリット・ウェヴァー】

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連続レイプ事件を担当する女性刑事。同じく刑事の夫マイクが働く管轄内で担当事件と酷似した事件が起きていることを知り、ラスムーセン刑事と捜査を始める。

 

囁くような口調の中にも意志の強さを感じさせる刑事役を見事に演じきっていた彼女。特に目立つ外見でもない(失礼)けど、女優としての技量を感じました。もっと彼女の作品観てみたい。

最近では『マリッジストーリー』に出てたらしく、ググったら思い出しました。スカヨハの妹役!

mobayuri.hatenablog.com

 

グレース・ラスムーセン刑事【トニ・コレット】

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連続レイプ事件を担当する女性刑事。デュバル刑事の夫マイクと同じ警察署で働く。麻薬捜査官として潜入操作も行ったこともある経験豊富な敏腕刑事。

 

デュバル刑事とは対照的に気の強いベテラン女性刑事を好演。

絶対どこかで見たことある顔だと思ったら『シックスセンス』のお母さん役だった人!!

最近では、今世紀最大に怖いと話題のホラー映画『ヘレディタリー/継承』で主役を務めたそうです。

 

 

 

〜ここからネタバレあり〜

 

 

 

 

 

感想【ネタバレあり】

 

 

ひたすらかわいそうなマリーが早く報われて欲しくて、1日でイッキ見しました。泣

苦境もありながら、少しずつでも着実に進むストーリー展開にも引き込まれ、あっという間に観終わった。

 

 

証言を覆すマリーの曖昧な言動にはもどかしくなるけど、ティーンエイジャーが大人に囲まれて居心地の悪い中思い出したくもない話を何度もさせられたら、止むを得ず大人の望む”真実”を語らなければいけない気がしてしまったうのも分かるかも。

でも、予想していた反応じゃなくて困惑する養母達や育った環境からの同情で判断を誤った警察の気持ちも理解出来るから、複雑な気持ちに。

 

 

実際、今作の登場人物の中で本当に「悪い奴」は犯人だけ。

みんな悪意なんて無しに彼らなりにその時に正しいと思った判断を下しているだけなのに、紙一重の間違いでおかしな結果になってしまう。こんなに大きな間違いが簡単に起こり得てしまうことがリアルに描かれているのも良かった。

 

 

絶対にあってはいけないけど、性質上男性では判断が難しいってこともわかるし、女性が被害者の性犯罪は専門知識を持った女性が担当するって決めてしまったらいいと思う。

性犯罪では高齢の被害者が恥ずかしがって被害を届けなかったり、被害者が自分を責めたりするケースも多いって聞くし、警察は繊細に扱うべき。

 

 

二人の女刑事の活躍も今作の見所。

また最近よくある「ガールズパワー」的なやつかって思ったりもしたけど、性犯罪は女性の方がずっと被害者の心境を理解しやすいのも確か。

 

 

劇中で、被害者に何度も事件の詳細を語らせる(俗にいうセカンドレイプ)おじさん刑事と、被害者に寄り添い優しく声をかける女性刑事のコントラストは明らかだし、警察職員の家庭内暴力や性差別についての問題提起がしっかり盛り込まれてるのも今作のポイント。

弱い立場の人が結局損をするシステムであってはいけないんだっていうメッセージが込められていた気がする。

 

 

多くの被害者は事件後も気丈に振る舞うけど、精神的なトラウマはいつまでも消えない。

最後のエピソードで被害者が裁判で証言する内容は、痛々しくリアルで胸に響いた。

 

 

マリーを最初に担当した刑事も、事実を知った後は心から申し訳なさそうに見えてちょっと感動。反省してくれる人がいるってだけでも未来は少しだけ明るいんじゃ無いかと思えた。(許せるかどうかは別の話だけど)

 

 

この事件の教訓として、警察が適切に捜査を進めるのはもちろんだけど、世の女性は絶対に性犯罪を偽装するべきじゃ無いってことも強く思った。

個人的な理由や復讐として性的暴行を偽装する女性の事件もあったりするけど、そんな人が一人でもいるからそもそも「偽装の可能性」という疑いが生まれてしまうんだと思う。

 

 

最初からイライラモヤモヤすることが多かった今作だけど、最後はしっかりハッピーエンドで気持ち良い。

最終的に友達は離れ養母達との関係も揺らいでしまったマリーが失ったものはあまりにも多過ぎて辛い気持ちは残るけど、全編通してほぼ笑顔の無いマリーが、市からの賠償金で買ったであろうおしゃれなジープを気持ちよさそうに乗り回してる姿を見て「強く生きろよ」とおばさんは涙を拭ったのでした。。。笑

 

 

余談ですが、、、

最後の犯人ちょっと当初の犯人像と違くない?長身の細身って言ってなかった?

捕まった兄は明らか細身ではなかったから、実は弟が真犯人ていうどんでん返しがあるのかと思った。

犯人(兄)が逮捕後、裸にされて被害者同様晒し者のような目に遭うシーンでは、犯人役の俳優さんの心情が気になってしまった。笑

(極悪犯役かつフルヌードとは、、、脱帽です!) 

 

 

 

まとめ

 

☆星 4.6 個☆

 

※メイン女優達の演技が圧巻。

※しっかり問題提起しつつ、ドラマとしても楽しめるストーリー。

※重い題材だけど気持ちよく終わるラストが良かった。