探偵Lの映画ブログ

カナダ在住の映画&ドラマオタクが探偵気分で映画をレビューするブログ

【作中に無い事実あり】Netflix 『ジェフリー・エプスタイン:権力と背徳の億万長者』 大物政治家から王族までが関わった事件

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2019年の一大イベントといえばジェフリー・エプスタインの事件だった気がする。

 

人身取引なんて、到底一般人には関係のない裏の世界(裏の世界ってなに笑)の話だと思ってたのに、表舞台のトップとして活躍する大統領から王族までが介入したネットワークがあり、多くの一般人を犠牲にしていたことが判明して、大富豪・権力者と言われる人の中には、その立場を利用して弱い立場の人間をモノのように扱うような人達が実際にいるんだってことが明らかになった衝撃的な事件だったと思う。

 

疑いがある人物の名前はいくつも出てきたけど、実際に捕まったのはエプスタイン一人だったことも異様だったこの事件。

アメリカのトランプ元大統領、クリントン元大統領夫妻、イギリスのアンドリュー王子など、世界的な著名人が彼と交友関係にあったと言われているから、自殺は仕組まれたものだとも言われてますね。

 

権力って怖いわー。

 

その後、ついに共犯のギレーヌ・マクスウェルが2020年7月に逮捕され、現在はブルックリンの拘置施設に収監されている。この人の逮捕になんでこんなに時間がかかったのか謎。

 

今後また発展があることを祈ります!  

 

 

 

 

勝手に捜査官【劇中にない事実あり】 

権力と正義

正直、この事件が発覚したときトランプ大統領もアンドリュー王子もクビ?か破門にでもなるかと思ったけど、やっぱり権力者はそう簡単に罰せられないんですね。笑

 

エプスタインが謎の億万長者だってタイトルにまでなってるのに、このドキュメンタリーでは

エプスタインの収入源についてやネットワークについて核心には触れてなかった気がする。

 

個人的には去年の事件まで存在も知らなかったエプスタイン。本当は何度も通報されて、何度も不当に罪を免れていたってことが恐ろしい。

 

お金の力なのか、コネクションなのか、ここまで特別扱いされてたっていうのは絶対に誰かに助けられてたからで、それが大物政治家の力かもしれないし、大きな会社のオーナーだったかもしれないけど、そもそも少女達の人身取引だって絶対一人ではやってないでしょ!

 

元恋人ギレーヌ・マクスウェルと、数人の金髪美女リクルーターだけでもないでしょ!身元が分かってるのにギレーヌ以外は捕まってないのはなぜ?

これだけお金持ちで、いつも周りに誰かいてお金やビジネスを管理していたはずなんだから、エプスタインとマクスウェルだけが捕まるっていうのも納得いかないよなー。

 

いろいろ不自然すぎるこの事件。

エプスタイン自体も直接少女の虐待に手を染めていたのは事実だけど、彼の逮捕についてはもっと大きな何かに”生贄”にされたのかもしれないって思ったり。

マスコミがもうちょっとでも掘り下げればもっと確実な情報も出てきそう。

 

巧妙さ

被害者はみんな美女ばっかり

アンドリュー王子と写真に写ってたことで有名な女性ヴァージニアも、詳細に当時の経験を語ってて、エプスタインとマクスウェルがどれだけ巧みに女性達を操ってたかってことがよく分かった。 

 

ちなみに、2021年8月にはついにヴァージニアがアンドルー王子を提訴

これでしっかり法的に罰せられてほしい!法律がちゃんと万人に機能する公平なものだと証明してほしい!

GO!!ヴァージニア!!

 

虐待した次の日には豪華な旅行に連れて行ったり、欲しいものを買ってあげたり、お金で手懐けて、女性達の感覚を麻痺させて、まさにアメとムチの絶妙な対応で信頼を得ていたんだろう。

 

エプスタインとマクスウェルはある意味賢く人身取引のネットワークを利用して、連れてきた女性が手の内に落ちたら、次はその子を使って他の女性をリクルートさせるっていうピラミッドスキームを成功させてた。こわし。

 

 

被害者責任!?

エプスタインや加害者達にとってはただの”気晴らし”だったかもしれないけど、そのたった一度の出来事が少女達に一生治らない傷を与えるんだっていう性的虐待の悲しい現実を感じた。

 

当時はみんな若いし、エプスタインは若い子から見たら「お金持ちのすごい人」なわけで、世間知らずだったから仕方なかったとしても、彼女は無用心だった気がしてならない。

 

最初に出てきた美術学生の話とか聞いてて、よく知らない人に「学費出してあげるよ」って言われて怪しいと思わなかったのかな?とか、数回しか会ったことない人の人里離れた豪邸に行くのも怖く無いのかなとか(女性のマクスウェルが一緒にいたからガードが下がったのかもしれないけど)…

 

どれもエプスタインが女性を虐待していい理由にはならないけど、こんなことが起こり得るからこそ女性は気を付けないといけないですね。

タダより高いものは無いよ!!笑

 

もちろん、お金欲しさにすすんでエプスタインに会いに行ってた人もいたはず。インタビューでもエプスタインのことが好きで、感謝してる子もいたって言ってたけど、そういう人はこの売春関係で自分のことを大事に出来ない人間にさせられてしまったってことだと思う。

 

特に、友達を何十人も紹介してた女の子は「私は被害者なの!」って言ってたけど、どうしてもちょっと疑問は残る…

でも、それは自分が大人だからで、もし複雑な家庭環境で育ってお金にも困ってて彼氏がいたこともない10代の学生だったら、今と同じ判断ができたかって思ったらそうじゃないかも。

超お金持ちの大人がすることの方が、無力で貧しい自分よりも正しいはずって思うかも。

自分が感じる「違和感」にだって確信が持てないかも。

 

被害者責任を問う声もあるけど、10代なんてみんなただでさえ色々間違えてばかりだったのに、当時の被害者本人じゃなきゃ分からない境遇や苦悩を考えたら、彼女達のことは責められない。

 

余談ですが…

ちょっと前に日本でも小学生の女の子が行方不明になって、実はネットで出会った男の家にいたっていう事件があったの覚えてるけど、女の子が自分で男に会いに行ったっていう報道がされた途端に被害者責任が問われ出して、悲しくなったわ。

 

「普通はしない」って自分が大人だから言えるんであって、自分が同じ歳の時に大人に言葉巧みに誘われたら「絶対」なんて言い切れないと思うんだよね。未成年の子供が無用心だったなら、少なからず親に責任があるんだろうし。

そもそも、大人は子供を守るべき立場なんだから、子供が被害者だったら大人が絶対間違ってるはず。どんなときも。 

 

黙って見ていた加害者たち

これ見て本当に実感したのは、大富豪達のあからさまな未成年の売春行為を目撃していた使用人・パイロット・ドライバーその他諸々の大人が、エプスタインが逮捕されるまで誰も何も言わなかったってこと。

 

元使用人のインタビューで「エプスタインが、娘を連れてくればいいと言ってきたから次の日には辞めた」とか言ってたけど、じゃあ自分の娘じゃない他の女の子がされてることには目をつぶってたってこと!?ていう…

 

権力者だし、お金あるし、怖いし、「触らぬ神に祟りなし」的な考えだったのかもしれないけど、残念。

 

映画とかドラマとかで、お金持ちのおじさんが若い女性と戯れてる(『ウルフ・オブ・ウォールストリート』みたいな)のを見て、正直女の子達の意思がどうこうよりも「この大富豪、美女に囲まれてすごいな」って思ってしまう”イメージ”の問題もあるよね。それが権力の象徴みたいなさ。そこにいる女性のことなんて気にもしない。

 

エプスタインみたいな大富豪にはそれが普通だし、彼らは住む世界が違うんだって思ってたとしても誰も何も言わないから、エプスタインが「自分は法よりも上にいる」と思っていたのかも。(実際そうだけど)

 

コネクション

エプスタインは特に何がすごいわけではなかったから、お金を使ってどうにか「すごい人達」の中に入って行きたかったんだろう。

科学者とか発明家みたいな人に寄付をしてそこに入って行こうとしたり、彼らを自分の島に招待したり、男性だったら若い美女達がいる南の島に誘われたら断らないよね。笑

 

エプスタインがセレブと写っている写真はチャリティーパーティーとかのが多くて、チャリティーって”いいこと”をするための場所のはずなのに、そこがエプスタインには獲物探し&若い美女を見せびらかすための場だったのかもしれない。 

 

まとめ

このドキュメンタリーは、概要と被害者のメッセージをしっかり捉えてたとは思うけど、まだまだこの事件は終わってなくて、(エプスタインは死んじゃったけど)このピラミッドスキームを暴露するための一歩を踏み出しただけって感じがした。

 

ここから数年かけて、少しずつでも悪の根源を断ち切って欲しい。

普通の人なら刑務所入りになるはずのことをしているのに、お金やコネがあるからどこまでも逃げ切れるってことが許されない世の中になって欲しいものです。

 

 

 

評価

 

 

☆星 3.5 個☆

 

 

※被害者のインタビューがメインで、中立の立場として描かれている。

※もうちょっと深く切り込んだ内容があっても良かったかも。