ディズニーの隠れた名作『ムーラン』がついに実写化!!
予告編はアクションも音楽もかっこ良かったから期待大!!
特にこれ鳥肌↓↓
実は、オリジナル版は数年前に実写化が決まってから初めて観たんだけど、大好きなストーリー。コメディーとシリアスのバランスが完璧だし、典型的なディズニーヒロインみたいにドレスを着たプリンセスじゃなく男勝りなムーランは新鮮でかっこいいと思った。
↓↓まずアニメ版を観たい方はこちら↓↓
そのイメージを前面に押し出したかったのか、実写版はアニメ版とは異なりミュージカル要素はゼロ。より迫力のあるアクションシーンが多めで、大人も楽しめる『ムーラン』を目指した印象。
でも、1998年公開のアニメ版『ムーラン』の実写版と思って観ると物足りなさを感じるかも。
下記の感想【ネタバレあり】は、当時そんなことはつゆ知れず公開後のレビューも評価も一切見ずに観賞したわたしの率直な感想になってます!笑
ちなみに、主題歌は引き続きクリスティーナ・アギレラが歌う「リフレクション」。
この曲、切なさと壮大さのバランスが絶妙でほんと好き!!
実写版についての論争
ディズニー+(プラス)の限定公開
実写版の制作が決定してから公開を待ちわびる声が大きかった『ムーラン』。
当初2020年4月公開の予定がコロナ禍を受けて延期となった上に、結局ディズニープラスでの配信公開となりました。
あんなにもったいぶっておいて、ディズニープラスのみ&追加料金2,980円の限定公開だと!?
最初は正直「家で観るのに2,980円高っ!!」とか思ってたんだけど、冷静になって諸々良く考えると、結局妥当な判断かなと。
配信なら家で数人一緒に見れるし、国によっては映画館みたいな窓のない密集スペースはまだ営業禁止になってところが多いし、こんなときに家族で映画館行くなんてリスキーな気もする。
日本の映画館は営業してるみたいだけど、世界的な状況を考えると正しい決断だったんじゃないかなー。
期待が大きいだけにいつまでも公開延期は出来ないし、ディズニー的にも苦渋の決断だったんじゃないかと。
ムーシューの不在
アニメ版ムーランで大人気だった、ファ家の守神ムーシュー。
ひょうきんなエディ・マーフィーのムーシュー最高だった!!(日本語版はもちろん山寺宏一!!)
ただ、実写版ではムーシューが出てこない!!!?(もちろんあの幸運コオロギも)
個人的に大好きだったアニメ版のコミカル要素は、実写版では控えめに。
他にも、アニメ版で描かれたムーランと隊長との恋愛は「#MeToo運動(セクハラ問題への運動)」の観点から好ましくないとのことで、タン司令官とホンフイという二人のキャラクターが新たに登場していたり、アニメ版ではヴィランの右腕役だったハヤブサが、魔女シェンニャンとして現れたりと、新キャラも多数。
主演女優の政治的な発言
今もなお続いている香港と中国の「逃亡犯条例」をめぐる対立について、2019年に主演のリウ・イーフェイが警察側を擁護するような発言を中国版Twitterのウェイボーに投稿し、香港市民を中心にムーランをボイコットする呼びかけが起きた。
制作中止・主演女優の降板とまでは行かなかったものの、作品の舞台であるアジアでこんなボイコット騒動が起きるなんて、なんとも残念。
個人として政治的な発言をすることは自由だと思うけど、まだこれから『ムーラン』の公開を盛り上げて行かないとって時のこの発言は、ビジネス的には失敗だったのでは…
監督・キャスト
監督:ニキ・カーロ
シャーリズ・セロン主演の『スタンドアップ (字幕版)』などを手掛けた女性監督。カナダの名作『赤毛のアン』を題材にしたドラマ『アンという名の少女』も彼女の監督作品。
個人的には今作で初めて知った監督さんだけど、ムーランは当然のようにアジア系監督だと予想していたわたしとしてはちょっとびっくり。(どんな経緯で監督選んだんだろう…)
当初、ディズニーは『ハルク』『ジェムニマン』のアン・リー監督にオファーを出すも断られ(リー監督は取材で*1と説明)、俳優・監督のジャン・ウェンになるかと思いきや、最終的には女性監督ニキ・カーロに決定。(ディズニーが大作に女性監督を起用するのは『リンクルインタイム』以来2度目。)
ディズニーは、(特に実写版リメイク始まってから)有色人種のコミュニティに対してかなり顔色伺いをしてる感じで、『ライオンキング』の時には人種問題を指摘されるのを恐れてか監督から役者までほとんどアフリカ系キャストで占めてた(映像は全部CGIにもかかわらず)のに、『ムーラン』は監督アジア系じゃないの!?て言う。
アクション系シーンがある映画で、アジア系の女性監督だったら『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY』のキャシー・ヤンとか、『ソウシリーズ』『アクア・マン』のジェームズ・ワンとか。
いくらでも候補はありそうなもんだけどね。(その分プレッシャーは特大でしょう。)
ニキ・カーロ監督自体は何も悪く無いの!!
ただ、ディズニーのやり方として人種問題にそんなに気を遣うなら的を得て欲しいの!!
キャスト
「やっぱりね」て感じの大物が脇を固める今作、ムーランをはじめ「若手は発掘」タイプのキャストスタイル。悪くないだろう。←
個人的には、名脇役ツィ・マー(通称:The アジア系アメリカ人の父)がここでもパパ役だったのと、ムーランといい感じになる支える系男子・ホンフイ(新キャラ)がお気に入りだった。
ファ・ムーラン【リウ・イーフェイ】
ファ気の長女。女性らしくない男勝りな行動で両親に心配される。
召集命令を受けた父の身代わりになり、男装して軍隊に参加することに。
中国出身のアメリカ人女優。なんとあの透明感で31歳(撮影当時)!!
溢れ出るピュア感!!(スキンケアルーティーン教えてくれ)
彼女の強い眼差しが、男勝りな強さと女性的な美しさを兼ね備えてるムーラン役にぴったりだと思った。中国では時代劇を中心に活躍していたみたい。今後の世界的な活躍に期待!
ファ・ズー【ツィ・マー】
ムーランの父。前回の戦いで足を負傷しているが、「一家から男子一人」を皇帝招集命令を受け入れる。
ハリウッド映画に出てくるアジア系父親役といえばこの人!!笑
最近ではアクアフィナ主演の『フェアウェル』でもいい味出してた名脇役。
今作でも、家族思いなムーランの父親役がステキでした。
タン司令官【ドニー・イェン】
ムーランが入隊した軍隊の司令官。
ブルース・リーの師匠であるカンフーマスターを描いた『イップ・マンシリーズ』などで有名。中国では知らない人はいないであろう、カンフー映画のレジェンド的存在。
強くて高貴な司令官役がぴったりだった。戦闘シーンもさすが!
シェンニャン【コン・リー】
実写版の新キャラ。過去に国を追放され、ボーリー・カーン率いる敵軍に加わる魔女。
アニメ版では敵陣の偵察役だったハヤブサが、実写版では魔女に!
『SAYURI』『マイアミ・バイス』などに出演し、ハリウッド映画にも度々登場する中国出身の名女優コン・リーが、今作のヴィラン。神秘的でクールな雰囲気がかっこいい。
この人いつ見ても全然老けない!!
ボーリー・カーン【ジェイソン・スコット・リー】
帝国の征服を狙う、北方民族の長。
『ドラゴン ブルース・リー物語』『ジャングル・ブック』などに出演のアメリカ人俳優。
ダークで不気味な雰囲気がボーリー・カーンのキャラクターにぴったり。
ホンフイ【ヨソン・アン】
ムーランと同じ隊に入隊した青年。
内面的な人の良さが滲み出てるタイプの好青年。シャイで誠実な感じがステキなムーランの思い人役(新キャラ)。
演じたのはマカオ出身のニュージーランド人俳優さん。
皇帝【ジェット・リー】
中国を収める皇帝。
絶対何かしらの役やると思ってたよ、ジェット・リー。でも皇帝とは!!
オリジナル版では白髭のおじいちゃん皇帝だったけど、実写版は若めだし、敵軍の攻撃も交わす俊敏なジェット・リー皇帝。
〜ここからネタバレあり〜
感想【ネタバレあり】
実写版はシリアス
先に言っておくけど、わたしは実写版ディズニー映画の中では『アラジン』が一番好き。
あのオリジナルに忠実かつコミカルとミュージカルのバランスが完璧なところが、家族で楽しむことを前提としたディズニー映画らしくて良いの!!
今作は、打って変わって大作感を匂わせる(実際大作だけど)シリアスな雰囲気。
そもそも『ムーラン』のコメディ要素はそこまで強く無いものの、アニメ版のキーキャラクターだったムーシューの不在もあってか、実写版にはコメディ的な要素はほぼ無し。ディズニー映画の定番的なミュージカル要素も一切無し。
正直、これが失敗だったかと。
今作ではムーシューの代わりとして火の鳥がムーランの成長と覚醒(?)を表現してたんだけど、アニメ版のムーシューはムーランと一緒に困難を乗り越える仲間で、存在感のあるキャラクター。
アニメ版に出てくる楽曲がどうなるのかも楽しみにしてたのに、お見合いの時の歌も軍隊での歌も一切無くてがっかり。(ミュージカルやる感じのキャストでも無いけどさ)
制作側の意図として、家族で楽しめるかっこいい作品を作りたかったんだろうけど、どうしてもアニメ版と比較しちゃって物足りなく感じるんだよなー。
オリジナルから引き算するなら、それを補うインパクトのある新要素が欲しかった!
それが新ヴィランの存在だったのかもしれないけど、なーーんか不発な感じ。
実写版でムーシューを再現するのは難しかったとしても、せめて挿入歌はそのまま使って欲しかった!!(最後の作戦で仲間の隊員が女装するのとかも見たかった!笑)
そうしたらもっと見応えのある作品になってたのでは、と思うのでした。
ヴィランがかっこいい!!
馬大好きなわたし。笑
ボーリー・カーン率いる敵軍が、真っ黒な馬に跨って草原を駆けてくるシーンは圧巻。
アニメでのフン族も顔色悪くてめちゃくちゃ怖かったけど、実写版でも敵陣の怖さと迫力は健在。
この映画、馬好きとしてはテンション上がるシーン多め!
敵が馬に乗利ながら矢を射るシーンも、ムーランが黒髪をなびかせて颯爽と馬に乗る姿も、超かっこいいの!!馬が!!
ボーリー・カーンはヴィランではあるけど、過去の戦争で皇帝に父親を殺された仇を打ちたいと言うシーンがあって、なんとなく憎めない気持ちも。(戦争なんて実際そんなもんよね。)
設定上、今作の真のヴィランはコン・リー演じるシェンニャン。
でも、騎馬民族を率いるボーリー・カーンと比べると悪者感は感じなかったかも。
ムーランが仲間に真の自分を見せる後押しをしたりして、むしろシンデレラのフェアリーゴッドマザー(カボチャの魔女)的な役割も担ってたし。
ボーリー・カーンには飼い慣らされるだけだし、過去に疎まれて追放された帝国のことも許せない、拗らせおばちゃん魔女(あのコン・リーをおばちゃん呼ばわりするのは恐れ多いけども)。切ないキャラクターではあったけど、ヴィランとしての役目はいまいちだった気がするなー。
軍隊でのムーラン
元々、男勝りで活発な少女ではあるけどあくまでも「家族思いな普通の女の子」なムーラン。でも、実写版ムーランは最初から運動神経抜群なの(え)。
オリジナルでは「男装して入隊した最初は失敗だらけだけど、他の隊員と一緒に成長して行く」みたいな姿が良かったのに、実写では初日から(てか幼少期から)すでに「気」の力が強くて武芸の才能もあるような描き方だったのはちょっと違和感。
「女だけど人一倍努力して、男だらけの軍隊で一目置かれる戦士になって行く」っていうのが好きだったんだけどなー。
普通の女の子がそんなこと出来る?ていうような、ずば抜けた戦闘技術みたいなのは必要あったのかなーと思ったり。
でも、仲間の隊員と友情を育みながら家族のために強くなっていくムーランのたくましい姿はやはり健在。(男性隊員を後目に水運ぶシーンとかね。)
不器用だった同僚軍人の男の子が最後は弓の名手になってたのにはちょっと感動。
ロマンス要素少なくない?
予告編見た時は「隊長役ドニー・イェンか、結構年上だなー。苦笑」と思ってたら、実写版では別にお相手がいるのね。(タン司令官十分いい人だし惚れてもおかしくない。笑)
軍隊仲間のホンフイとの微笑ましいやり取りにはニヤニヤしちゃったけど、結局最後まで淡過ぎる!!笑
あの別れ方もピュアぽくて良いけど、オリジナル版で最後にシャン隊長がムーランを訪ねてくるシーンすごく好きだったから期待してたのに!!
そもそも『ムーラン』には王子様もお姫様もいないし、ロマンチックなタイプのストーリーでもないけど、もうちょっとロマンス要素入れても良かったのでは?
最後まで自立した強い女性としてムーランを描きたかった意図もあったのかもしれないけど、せっかく良い出会いあったんだから恋ぐらいさせてあげてくれ。笑
でも、「LOVE」って意味では家族愛と仲間への愛に溢れたストーリーになってたと思う。
両親が男勝りなムーランを心配する姿とか、家族のために自分を差し出すムーランの勇気は、愛に溢れてて感動的だった。
豊富なアクションシーン
アクションシーンが多いのは良かった。
騎馬隊の攻撃シーンも、城内での戦いのシーンも迫力満点。
アクションに力入ってる分、戦闘シーンが結構リアルで子供が見るにはちょっと重いんじゃないかなーとも思った。個人的には好きだけど。
ムーランが最初から武術が得意なのはイマイチ納得がいかないんだけど(しつこい)、真っ赤な着物を着て黒髪をなびかせながら颯爽と馬に乗るムーランはやっぱかっこいい!!
アジアンビューティーを感じさせる長い黒髪がステキ。
頭脳戦で敵を一掃する雪崩の名シーンも再現度高くてテンション上がるし、真の自分を見せる事を決意したムーランの変身シーンもドキドキ!!
(え、シェンニャンとどめ刺さないの?て感じだったけど笑)
でも、非現実的ハイジャンプ系アクションはあんまりかな。
女性であるムーランの身体能力を考えると「かっこいい」と「やり過ぎ」なアクションの絶妙なラインを(「やり過ぎ」側に)超えちゃってるアクションが多かった気がする。(考え過ぎ?)
少女時代にニワトリ追いかけて屋根まで登っちゃうところとか、ちょっとやりすぎな感じだったし。笑
一方で、タン司令官は演じるのが宇宙最強のドニー・イェンだからどんなアクションも一切違和感無し。気持ちいいくらい。笑
まとめ
どの映画でもそうなんだけど、リメイクとか実写版ってなるとまずは「オリジナルのあのシーンがどう再現されてるか」ってとこを楽しみに観に行くと思うの。
特にオリジナルが成功してて一定の人気がある場合「今度はどれだけ新しい要素が盛り込まれてるかな」なんて気にする人いなくない?(わたしだけ?)
そういう意味で、実写版『ムーラン』はオリジナルファンの期待に添えてなかった。
ディズニー実写版は、結局オリジナルに忠実な作品が成功している印象だし(『美女と野獣』『アラジン』など)、ムーランでももう少しオリジナルの良さを尊重して欲しかった。
でも、作品としてはカメラワークとかカラーバランスとかがすごく綺麗で、スクリーン映えする美しいシーンがいっぱいあったから観ててワクワクしたのは間違いない!
(ああ、映画館で観たかった!!)
公開に向けての逆境が多かった作品ではあるけど、ディズニーがオールアジアな映画を作ったことには大きな意味があると思う。
アジア系キャストがメインの作品って、まだなかなか存在感示せてないことが多いと思うの。その中で、この『ムーラン』は世界中からの期待がすごく大きかったし、女性の強さや自立が尊重される昨今の風潮を考えても今求められてる作品だったと思うんだよね。(と真面目な話もしておく)
トータル的には物足りなく感じたのが正直なところだけど、観る価値はあった!!
とにかく、最後に「リフレクション」聴いて感動。笑
評価
☆星 3.4 個☆
※どうしてもオリジナルと比べてしまうとFUN要素が足りなかった。
※家族思いの愛に溢れる強い女性感がしっかり伝わって来るストーリーには感動。
※結局ディズニー実写版はオリジナルに忠実に作った作品が面白いってこと。
*1:「僕はちょうど他の映画をやってたから無理だったんだけど、アジア人監督がこの映画を率いるのを見たいものですね。」