ちょっと前に話題になっていたので、気にはなっていたけど放っておいてたHBOドラマ。
ケイト・ウィンスレット主演だし、ミステリーファンとして見ておくべきかなと思い暇な週末に観始めたら、一気に全話見切ってしまった!!ハマる!!
アメリカの闇を削り取ったような内容。
小さな田舎町は本当にかなり閉ざされていて、「みんながみんなと知り合い」な環境で起こる人間関係の絡み合いや過去との呪縛、ドラッグ問題などがリアルに描かれた作品でした。
HBOでの公開だから、日本ではなかなかなかなか観るのが難しいかも知れない…
でも、チャンスがあったら観てほしい!
※現在はU-NEXTで見れるみたいです!!題名は『メア・オブ・イーストタウン/ある殺人事件の真実』
タイトル通り、イーストタウンに住む刑事のメアを中心とした人間関係や事件についてのドラマ。ただの刑事ものと言ってしまうにはもったいないくらい、ディープでダークなヒューマンドラマでした。
”誰も完璧な人なんていないし誰もが悩みながらもどうにか生きているんだ”と背中を押してくれる作品でもあります。
登場人物が多いから覚えるのがちょっと面倒(しかもみんなちょっとずつ似てる)かもしれない。笑
あらすじ
イーストタウンに住む刑事のメアは、高校時代にバスケットボールのスター選手として活躍しており顔が広い。
一年前に行方不明になった若い女性の事件を解決できずに行き詰まっていたところ、また新たな事件が起こる。
キャスト
制作:ブラッド・インゲルズビー
メア・シーハン【ケイト・ウィンスレット】
イーストタウンの刑事。かつては高校バスケのスター選手で、地元では顔が広い。
今作で、普段はイギリス英語のケイトがペンシルバニア訛りの独特なアクセントに挑戦しているのにも注目。
ロリ・ロス【ジュリアンヌ・ニコルソン】
メアの長年の親友。
家族ぐるみで仲が良く、不器用なメアをいつも支える良い友達。
この方、いろんな作品でちょこちょこ見かける気が。メアとの友情が素敵。
出演作:『アイ、トーニャ 史上最大のスキャンダル』、『8月の家族たち』など
ショバーン【アンゴウリー・ライス】
メアの娘。バンドをやっているアートな高校生。
メアを支え見守る健気な娘。
この子かわいかったなー。存在感のある演技もすごくよかった。今後の活躍にも期待のオーストラリア人女優さん。
出演作:『ナイスガイズ!』、『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』など
ヘレン【ジェーン・スマート】
メア達と同居しているメアの母。
メアといつも口喧嘩しつつ、母の愛を感じた。ヘレンのジョークやメアとのやりとりは笑えるシーン多々。今作で一番好きなキャラクターだったな。
人気ドラマに多数出演する彼女、やはり流石の演技だった。
出演作:『24-TWENTY FOUR-』、『ウォッチメン』など
コリン・ゼイベル【エヴァン・ピーターズ】
メアの事件解決を手伝うためイーストタウンにやって来た刑事。
過去の未解決事件を解決した功績を認められてメアのパートナーとなるセイベル。メアに振り回される姿がちょっとかわいそうだけど、この凸凹コンビがいい!!
あの、クイックシルバーが刑事役かぁ。
出演作:『X-MEN:アポカリプス』、『ボーダーライン:ソマリア・ウォー』など
リチャード【ガイ・ピアース】
作家。バーでメアに出会う。
セクシーなインテリおじさま。共通点も価値観も違いそうなのに、なぜメアに夢中なのか全く理解できない(ごめん)。笑
感想【ネタバレあり】
メアというキャラクター
最初の登場から早速「ん?」て思ってしまうくらいオーラが無い。笑
ぶっきらぼうで酒好きな偏屈おばさんと化したケイト・ウィンスレットの演技がすごくよかった。個性強めなメアのキャラクターを理解し切ったケイトは、彼女の動作やシーンの構成を多数提案したんだとか。
ジャンクフードばっかり食べて、タバコ吸って、ビール飲んで、口も態度も悪いメア。
元旦那のフランク【デイビッド・デンマン】はなぜか新恋人と隣に住んでるというカオスな家族。笑
ストーリーが進むにつれて、少しずつこの家族のダークな歴史も明らかになる。
「メンタルヘルス」という言葉を日本でも耳にするようにはなったけど、自殺したメアの息子が苦しんでいた精神疾患を含め、中には生きづらさや居場所のなさを感じながら生きている人(メア、エリン、ベティの弟フレディ、ドリューの母キャリーもそう)もいて、それをうまく隠している人もいれば、どうすれば良いかわからずドラッグに頼ってしまったりする人もいる。この作品は、そんなダークな現実を包み隠さず描いていたことに感謝。
メアとゼイベルのやり取りの中で、メアが言っていた言葉にはすごく共感。
Doing something great is overrated. Because then people expect that from you all the time. What they don’t realize is you’re just as screwed up as they are.
「良いことをするといつも周りから期待されるようになるけど、こっちだって彼らと同じくらい大変な状態だってことにみんな気付かない。」みたいな意味かな。
みんながみんなと知り合いのイーストタウン
登場人物多め。イーストタウンのミステリアスな脇役達にも注目。
誰もがメアのことを知ってて、メアもみんなのことを知っている。イーストタウンのような小さなコミュニティは温かさもあるけど、同時にそこから逃れられない煩わしさもある。
クライム系のドラマではあるけど、ヒューマンドラマとしての深みや重みが素晴らしい作品だったと思う。
最後も、結局家族の庇い合いに振り回されることになったし、本当に銃の件がなければこのまま解決扱いされたはず。(家族がらみのこんな事件がどれだけあるんだろうとか思っちゃう…)
2つの事件
今作に出てくる事件は、若い女性の行方不明事件とエリンの殺人事件。
エリンかわいくて 好きだったのに、急に殺されちゃってびっくり!!
エレンの事件については絶対痴情のもつれだと思ってたから、最後の悲しい結末には結構びっくり。でも、ロス家のライアンには何かダークなものを感じたんだよなー。
あの神父も怪しかったけどね。特にこういう系の事件は過去がいつまでも引きずられちゃうから大変よね。あれだけ嫌われてたのにイーストタウンに戻ってくる勇敢さ(というかなんというか)には感心。
ライアンが犯人ではあるけど、一番最悪なのは父ジョン。
元々の浮気癖のせいで家族を悲しませ、弟まで巻き込んでおいて、最後は息子の罪を被って自分の罪を償ったつもりなのか…子供の罪を親がかぶる話、たまにあるけど全く共感出来ない!
母ロリも息子のために親友のメアにまで嘘をついてしまう。最後もう別人でちょっとかわいそうだったな。母がボロボロなのに、娘とジョン&エリンの息子は大丈夫なのだろうか…泣
逆に、行方不明事件は一度も出てこなかった謎の変態オヤジが犯人。
メアをデートに誘ったりしてかわいかった相棒のゼイベルが殺されちゃうのもかなりあっさりだったけど、この変態オヤジが速攻捕まってしまうのもちょっと拍子抜けだったかも。でも、娘が戻ってきたドーンには心から祝福したい!!友人の弟フランキーに騙された件とか悲し過ぎたから、報われてよかった!
母ドーン役のエニド・グラハムは、不幸なお母さん役多めな気がする…
まとめ
とにかく人間関係のリアルさが本当に見どころだと思う。
ここまでリアルにディープにタブーを描いたドラマがあっただろうか!
メアの家族は、いろいろ問題もありつつ愛に溢れていてすごく好き。
メアもショバーンもヘレンもロリも、みんなまだまだトラウマや苦しみは抱えながらもそれぞれこれからの未来のために立ち向かっていこう、って感じの最後がよかったなぁ。
ただ、ラストは全部がうまくいきすぎてちょっと拍子抜けした感はある。
フランキーもあっさり妻と元どおりだし、なぜかメアとも仲良し…
刑事ドラマとしての事件もすごくよかったけど、ヒューマンドラマとしてとにかく最高だった。
すっかりケイトがイギリス人だということを忘れさせるアクセントとジャンクなアメリカ人感(失礼)の役作りも素晴らしい。(ちなみにショバーンもオーストラリア人だけど全くわからない。)
久しぶりに、見終わってしまうのが悲しくなるドラマだったな。
評価
☆星 4.6 個/ 5 個☆
*人間関係のリアルさの描き方が秀逸。
*ケイト・ウィンスレットの演技がさすが。他の役者さんたちも最高!!