家の外に出ることができない広場恐怖症の精神科医アナが主人公のNetflix映画。
理由は全く異なるけど、「家から出られない」という点でちょっとだけ今の状況に当てはまるかも!?笑
監督は『プライドと偏見』、『ウィンストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男』のジョー・ライト監督。
原作はA・J・フィン著の同名小説。ニューヨークタイムズのベストセラーにも選ばれた大人気作品です。
2019年10月の公開予定から遅れに遅れ、ついにネットフリックスでの公開となった今作。
いやー、公開早々評価がひどい。笑
公開前に原作読んだけど、映画はかなりいろいろ省かれている印象(あるある)。
これじゃ原作ファンが怒るのも分かる。苦笑
本の人気が高かっただけに、期待が大き過ぎたのかも…
最後の感想【ネタバレあり】には、解説を入れつつ原作にあって映画に無い内容についても書いてます。
ちなみに原作本のレビューはこちら。
原作の方が数倍(いや数十倍)面白いので、興味ある方にはぜひ読んでほしいです。
日本語版原作のリンクはこちらの画像をクリック↓↓
あらすじ
広場恐怖症の児童心理学者のアナ・フォックスは、家に引きこもり近隣住民の生活を覗き見る生活を続けていた。ある日、アナは隣人家族の犯罪現場を目撃してしまい…
キャスト
アナ・フォックス - エイミー・アダムス
広場恐怖症の精神科医。窓から隣人の生活を覗くことを日課にしている。
お姫様のようなイメージが強かったけど、最近はシリアスな作品に多く出演するエイミー・アダムス。
酒浸りの中年女性を演じるために役作りし、スーパーマンの恋人ロイス・レインのようなセクシー美女の面影は一切無し…女優さんすごいわ。
出演作:『魔法にかけられて』、『メッセージ』、『マン・オブ・スティール』など
ジェーン・ラッセル - ジュリアン・ムーア
アナを助けたことがきっかけで仲良くなる。
登場シーンはわわずかなものの、存在感抜群のジュリアン・ムーア。
出演作:『エデンより彼方に トッド・へインズ』、『NEXT-ネクストー』など
アリスター・ラッセル - ゲイリー・オールドマン
アナの家の向かいに引っ越してきたジェーンの夫。
ジョー・ライト監督とは『ウィンストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男』以来の再タッグ。
出演作:『ウィンストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男』、『ハリー・ポッター』など
デヴィッド・ウィンター - ワイアット・ラッセル
アナの家のベースメントに住む男性。
『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』で一躍その名を知られるようになった注目の若手俳優。カート・ラッセルの息子としても有名。
出演作:『オーヴァーロード』、『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』など
見どころ【ネタバレ無し】
キャストの豪華さ
主演のエイミー・アダムスを始め、豪華なキャストが勢揃い。
作品としてのレビューは不評だけど、俳優人の演技はさすがです。特にエイミー・アダムスとゲイリー・オールドマンの迫真の演技に注目!
また、MCU&DCのファンならお気付きになったかもしれませんが、スーパーマンの恋人ロイス・レイン(エイミー・アダムス)、新・キャプテンアメリカのファルコン(アンソニー・マッキー)、クビになった非常勤キャプテンアメリカ(ワイアット・ラッセル)が今作では共演しているのです!!
同時期に公開した『ゴジラVSコング』のブライアン・タイリー・ヘンリーも出演!
もはやホラー
ほとんどはアナの家の中で起こることばかりなので、終始暗いしダークな雰囲気。
原作がサイコスリラーだからドキドキするシーンがあることは分かっていたけど、油断していると心臓発作を起こしそうな(大袈裟)シーンが結構あるので注意です!笑
一癖も二癖もあるキャラクター達なので誰にも共感できないと思うし、みんな怪しくて怖い…
でも、最後まで観終わった時に「あの時のあの人のあの態度・言動はこういう意図があったのか!」ってことが分かるので、もう一回見直したくなるかも。
余談:原作者A・J・フィンについて
今作の原作者、実は彼自身もなかなかのキャラクター。
性別不詳のA・J・フィンという名はペンネームで、本名はダン・マロリー。
元編集者だった彼が初めて描いたサイコスリラー小説がここまでのベストセラーになり、エイミー・アダムス主演で映画化までされるんだからすごいことなんだけど、その後ニューヨーカーの記事で、彼のひどい虚言癖が注目されることに。
メディアに登場し注目されるようになってからは、死んでもいない家族の話をしたり、大病を患っているフリをしたり、自分も広場恐怖症であると嘘をついたり…
冗談や勘違いのようなものもあれば深刻で陰湿なものもあり、捉え所のない人であることが分かります。
今作『ウーマン・イン・ザ・ウィンドウ』の編集を務めたニューヨークタイムズのシニア・エディターは、上記のニューヨーカーの取材でダン・マロリーについて聞かれると「彼についてはいつか聞かれると思っていたよ。それがあなたかFBIかはわからなかったけど。笑」と答えています。笑
上記の記事をベースに、ダン・マロリーの複雑な人間性と人生を描いたTVシリーズの作成が決まっており、ジェイク・ギレンホールが起用されています。
自分の作品だけでなく、自分自身まで映像化させてしまうなんてダン・マロリーただものじゃない!笑
感想【ネタバレあり】
省かれたシーン
原作を読んでいたら、「え?これだけ?」てなること間違いなし。笑
登場人物もいろんな重要シーン(だと思っていたシーン)もかなり省かれてしまっています。
ただ、淡々と進むストーリーに途中で飽きてしまう人もいたはず。
入りは面白かったのに、なんの盛り上がりもないまま急に犯人が現れて、急に終わってしまう、という感じ。
所々で使われる視覚効果とか、アナの精神状態を映したような古い映画のシーンは面白かったし、事件の伏線もしっかり回収されていたとは思うけど、なんかいろいろ物足りなかった…
ちなみに、本と映画で異なるのは
・父アリスターはイーサンと血の繋がりが無いこと(実の父親は別にいる)
・イーサンはアリスターの秘書を殺していない。(ストーカー行為がバレただけ)
・アナの夫と娘の死はもっと残酷
・デイヴィッドは死んでない(というかイーサンが来た時すでに引っ越してた)
・アナは自殺をほのめかす動画を撮っていない
・ラスト、アナは引っ越さない(ラッセル家がいなくなるだけ)
また、原作にあって映画に含まれていない事実は
・アナはジェーンと何度か会っていて、イーサンとジェーン(実母)が並んで歩く姿も目撃している
・アナが同じく広場恐怖症に悩むおばあちゃんとチャットで仲良くなる(このおばあちゃん、実はイーサン)
・アナは真相を確かめようとジェーン(本物)を追って外出(外出時、近所に住む日本人家族の息子に助けられるけど、この子はそもそも映画には登場せず)
・アナがデイヴィッドと関係を持つ
・イーサンは産みの両親を恨み、複雑な思いを抱いていた
など…
この辺のディテールが分かってるとまた違う見方が出来たのでは、と思うけど。
ラッセル家の秘密
今作ではラストがあっさり過ぎてよくわからなかった人もいるはず。
それくらい一瞬で片付けられてしまったラッセル家の問題。
ラッセル家の息子イーサンは、依存症だった母から引き離され幼い頃にラッセル家に引き取られる。
ラッセル家の両親はイーサンの危険行動に悩まされていたが、そんなことは何も知らない産みの母ケイティが、イーサンを引き取りたいとラッセル家に付きまとっていた。
イーサンの父アリスターは極度の過保護、もしくは虐待親父のように見えたけど、実は息子の危険な行動から外部の人間を守るために、アナやケイティを脅迫してイーサンに近付かせないようにしていた。
イーサンがケイティを殺害。ラッセル家の両親は、犯行を隠すためにケイティの遺体を隠し、イーサンを守ろうとしていた。
今作ではイーサンの動機について一切触れられないけど、原作を読んだ限りでは実の親への憎しみから来るもの(最初の被害者、アナ共に母と年の近い女性をターゲットにしていることから見ても)だったよう。
映画ではイーサンがただの気味悪いサイコパスってだけで終っちゃってたのが非常に残念。
アナの家族
最初から薄々気付いては来るものの、実はすでに死んでいる夫と娘。
最初から度々出てくる雪のフラッシュバックはそういうことだったのか!と分かってきます。あれが家族と交わした最後の会話だと思うと、あの車のシーン(アンソニー・マッキーほんと一瞬だった)悲し過ぎる…そりゃ酒にも溺れるわ。
「広場恐怖症」、「薬とアルコールの併用」は今作のキーポイントで、現実と幻覚の区別がつかなくなって困惑していくアナ。
でも、ジェーンの事件についてアナが見たことはどれも事実だっていうのが、意外な流れではある。
それにしても、マンハッタンのあんな大きなお家に一人で住めていたアナ。実はセレブ御用達のご子息限定セラピストかなんかだったのか…!?笑
評価
☆星 2.5 個/ 5 個☆
※原作と比べると全然面白くない。
※エイミー・アダムスの演技は迫力満点。