ダフネ・デュ・モーリアの小説「レベッカ」が原作、1940年にアルフレッド・ヒッチコック監督のもと制作・公開され、第13回アカデミー賞優秀作品賞・撮影賞を受賞したクラシック映画。今作は『フリー・ファイヤー』、『キル・リスト』などのベン・ウィートリー監督がリメイクしています。
わたしは原作もヒッチコック版も観ずに、サスペンス系だと言う理由だけでこちらを鑑賞。
オリジナルが気になる方はこちらから↓↓
レトロな雰囲気のサスペンス映画は大好きなので、こちらも期待大。
今作はキャストも豪華ですが、衣装や車などのディテールも見所です。当時の雰囲気を残しつつ、今観ても古臭くないおしゃれな作品に仕上がってて素敵でした。
ちなみに今作の衣装デザイナーは『ボヘミアン・ラプソデ』『ロケットマン』などを手掛けてきたジュリアン・デイです。
古い映画のリメイクではあるけど、レトロなラブストーリーの雰囲気は残しつつ、思いがけない展開と不気味な雰囲気は今の時代でも十分楽しめました。(さすがホラー系が得意なベン・ウィートリー監督。)
ただのラブ・ストーリーだと思って観るとびっくりするでしょう。笑
ストーリー
マダムの使用人として働いていた「わたし」は、イギリスの大富豪ド・ウィンター氏に出会い結婚。
夫の住む大豪邸マンダレーに住むことになるが、そこには夫が死別した前妻の影が残っていた…
キャスト
わたし【リリー・ジョーンズ】
マダムの使用人から大富豪の後妻となった女性。名前は出て来ず”わたし”として登場。
かわいそうな役がよく似合うリリー・ジェームズ。
今作でも、前妻の影に囚われるかわいそうな後妻役がハマってた。
出演作:『シンデレラ』、『マンマ・ミーア〜ヒア・ウィー・ゴー・アゲイン〜』など
マキシム・ド・ウィンター【アーミー・ハマー】
イギリスの大富豪。妻レベッカを事故で亡くした未亡人。
理想の独身大富豪て感じ。
大きな体ながらどこか悲しみと愁を感じる雰囲気も良かったなー。
出演作:『ソーシャル・ネットワーク』、『君の名前で僕を呼んで』など
ダンヴァース夫人【クリスティン・スコット・トマス】
マンダレーで働く使用人長。レベッカを慕っていた。
さすが、いくつになっても美しい。ちょっと意地悪な役がよく似合ってました。
出演作:『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』など
作品にまつわるエピソード
リリー・ジェームズのスキャンダル
最近では、今年10月にドラマで共演した19歳年上の既婚俳優ドミニク・ウェストとローマでデートをする様子をパパラッチされたリリー・ジェームズ。その直後にドミニク・ウェストとその妻はメディアに円満宣言をするという異様な展開に。笑(リリー本人は『キャプテン・アメリカ』クリス・エヴァンズとの交際を噂されていた最中。)
その前には、今作で共演したアーミー・ハマーとも噂が立ったリリー。やるねー!
アーミー・ハマーは最近妻と離婚しているけど、その原因は妻が1年前(『レベッカ』の撮影終了後)に”アデリーン”を名乗る女性とのメッセージのやり取りを見つけたことだそう。”アデリーン”は今作『レベッカ』で役名の無い主人公を台本で"アデリーン"と記していたことから、撮影中親しげだったリリー・ジェームズのことである可能性が高いとか。
ハマーは『レベッカ』の撮影終了後、ロンドンからロサンゼルスの家へ帰るも、その後すぐロンドンに戻っており、そこでリリーと会っていたのではとも言われています。
どうなんでしょね。
ちなみに、ハマー自身もその後過激な思想や性的趣向についての奇妙な噂を女性に暴露され、ハリウッドから白い目で見られているので、流石のリリーも手を引いているでしょう。笑
オリジナル版の主役ジョーン・フォンテインは日本生まれ
ヒッチコック監督のオリジナル版で主演を務めジョーン・フォンテイン、実は東京生まれ。
彼女の父は日本で教師をしており、東京高等師範学校(現在の筑波大学)では英語教師の傍らサッカー部を指導。(日本にサッカーを広めた人物としても知られているらしい)その後、早稲田大学勤務中に出会った同僚の妹リリアン(元舞台女優)と結婚し二人の娘が生まれる。そのためジョーン・フォンテインの生まれは東京都港区らしい!
面白いつながりがあるものですねー。
ちなみにジョーンの父はかなりの浮気者だったらしく、日本では芸者遊びに明け暮れ、イギリスに戻ったあとは家族を捨てて日本人家政婦(ド・ウィンターか)と日本に戻って再婚しています。(が、その後また離婚。笑)
〜ここからネタバレあり〜
感想【ネタバレあり】
旅先で偶然出会ったイケメン大富豪とスピード婚してしまう主人公。出会いから結婚まで、まさにシンデレラストーリーな展開は素敵だったけど、そううまくは行かないという…ハネムーン後、夫の大豪邸マンダレーでの生活が始まってからは作品の色合いもガラッと変わってホラーっぽい雰囲気に。
主人公とド・ウィンター氏との情熱的な恋愛はクラシック映画ぽいなーと思ったけど、サスペンスな部分もちゃんとしてて面白かった。
わたしは登場人物の服装やクラシックカーなど作品に登場するレトロなアイテム達に毎回見惚れていました。
大富豪のド・ウィンター氏が旅行先で着てた黄色いスーツとクリーム色のクラシックカーはレトロでかっこいいし、マンダレーに戻ってからの主人公の服装は大富豪の奥様の割にすごく庶民的なんだけど、ボブヘアにベレー帽がかわいかったのが印象的。レベッカの遺品までおしゃれ。
時代ものの映画はこういうディテールも見所の一つ。
マンダレーは超豪華な豪邸として有名って言う設定だけど、イマイチその美しさは感じられなかったかな。お屋敷のシーンは終始ダークであんまりいい印象無し。
一つ気付いてしまったのが、レベッカの部屋の前の白黒の格子模様の床…あれ『エノーラ・ホームズの事件簿』に出てきた公爵家の部屋と同じじゃん!最後のシーンで出てくる!
同じセット?とも思ったけど、Netflixイギリス映画クルー御用達の豪邸があるのかも。笑
新婚なのに、新居に戻ってからはひたすら憂鬱なことばかりの主人公。
昔のヨーロッパはきっと身分の違いとかうるさかったんだろうなー。ましてや主人公は元使用人で孤児だからね。
ダンヴァース夫人はやけに嫌味っぽいと思ったら、レベッカと一緒に屋敷にやってきた使用人だったのね。彼女にとっては娘のような存在だったのかな。そりゃ、旅行先でアバンチュールしたどっかの使用人が後妻になったら気に入らないわけだよ…笑
舞踏会で主人公が大失敗するシーンは、やっぱりねって思ったもん。
(余談だけど、主人公の付き人になったクラリスのお顔が印象的過ぎて忘れられない。笑)
↑この人
マキシムも、再婚したのにレベッカのものをあんなに至る所に残しておくなんてどうかしてるよね。ダンヴァース夫人がそうさせてたのかもしれないけど、あんな家での孤独な生活わたしは耐えられないわ。笑
レベッカのヨットが見つかって本当の遺体が見つかるわけだけど、前の遺体はフランクが確認したわけだから、フランクはマキシムの犯行を知ってたのかな。(わたしは勝手にフランクとレベッカの関係がキーになるのかと思った。笑)
前回も2ヶ月見つからなかったのはすごいと思ったけど、1年以上経ってヨットが見つかるなんて怖過ぎ!!
てっきりマキシムはレベッカが忘れられないのかと思ってたけど、本当は罪悪感と彼女の影に怯えていただけだったって言うのは予想外の展開だった。レベッカを称えまくるダンヴァース夫人の言い分にすっかり騙されてしまってたわ。
怖いのは亡霊じゃない!人間の方なの!!笑
レベッカは外から見たら完璧でも、実は裏の顔があったのね。
マキシムも、誰もが羨む大富豪だけど実は妻に見下されて浮気されまくっていたかわいそうな人だったんだなー。行動だけ見ればレベッカのことが忘れられない傷心の未亡人だけど、死んだ妻の影と罪悪感に怯えていたんだって知っても彼の言動には説明がつく!
人の心が囚われてしまうって意味では、愛も憎しみも紙一重なのかも。
本当はマキシムにとても愛されていることを知った主人公は、ここからの行動力がすごい。誰かに愛されていることに気付くと人は強くなるんだなーと。
レベッカの死因についての追及はどうなるのかなーと思ったけど、病気だったって言うのはなんともラッキーな展開。本当は、病気に苦しむのを恐れたレベッカがマキシムに自分を殺させたんじゃないかなーとも思ったり。
レベッカのことはやたらミステリアスに語られてるのに、最後は呆気なかった気もする。もっと大きい何かを期待してた。
主人公を憎むダンヴァース夫人の中ではレベッカは完璧な女性だったのかもしれないけど、本当のレベッカはただ結婚に向かない魔性な女だったってことなのかも(カリスマ性はあったんだろうけど)。笑
後半は畳み掛けるような展開ではあったけど、納得のラスト。
最後は愛が勝つっていう話ではあったんだけど、この件の後でド・ウィンター家と夫婦がどうなったのかってことも気になる。(ラストがなぜカイロなのかも気になる。)笑
評価
☆星 3.6 個☆
※クラシック作品らしい情熱的なストーリーなんだけど、サスペンスとのバランスは良し。
※メインキャストがハマり役だし、レトロな雰囲気の映像やファッションが素敵。
※肝心なレベッカが、思ってたよりもミステリアスじゃ無くてちょっとがっかり。