探偵Lの映画ブログ

カナダ在住の映画&ドラマオタクが探偵気分で映画をレビューするブログ

【ネタバレあり】Netflix『クイーンズ・ギャンビット』天才チェス少女の苦悩と成長の物語

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チェスの才能を開花させた孤児少女の苦悩と成長を描いた話題のオリジナルシリーズ。Netflixのリミテッドシリーズ史上、短期間で最も再生された作品らしいです。確かに、カナダ・アメリカではメディアやSNSでかなり話題になってたので納得。

 

「チェスのルール知らないしー」、「苦労話系苦手だしー」、「またガールズパワー押しでしょー」とか思って観始めるまでに時間がかかったけど…結局すっかりハマって、全7話あっという間に観終わってしまいました!!

ちなみに原作はウォルター・テヴィスの同名小説。

 

チェスのルールも知らないからと食わず嫌いは損ですよ…チェスドラマというよりも、ヒューマンドラマとして見た方がいいでしょう。

噂通り、面白かった!!

 

男性メインのチェスの世界でのし上がっていく天才チェス少女の物語。

とてもリアルなストーリーなので実話だと言う噂もありますが、本が原作なだけでフィクション作品のようです。

1960年代が舞台なので、レトロなファッションやカルチャーも見所。個人的には使われてた音楽も好き。こちらもカナダで撮影されているシーン多数の作品です。(ふふふ)

 

ちょっと気になって調べたら、チェスの起源は古過ぎて確かでは無いらしいけど、インドが起源だと言う説が有力らしいです。すごいなー。

ちなみにタイトルの「クイーンズ・ギャンビット」は、チェスのオープニングの一つらしい。

このドラマ観てから、とにかくチェスがやってみたくて仕方ない!

 

 

 

ストーリー

孤児として育ったエリザベスは、ふとしたきっかけでチェスに夢中になり天才的な才能を見せ始める。 

原作:ウォルター・テヴィス

監督:スコット・フランク

 

 

 

キャスト

エリザベス・ハーマン【アニャ・テイラー=ジョイ】

 
 
 
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母親の死後、孤児院に預けられチェスに出会い、瞬く間に天才プレイヤーとなっていく。二日酔いでもハイでも引きこもりでも、常にヘアスタイルは完璧だったことが印象的なエリザベス。笑

孤児院時代を演じた子役ちゃん(イスラ・ジョンソン)も良かった!

 

ほとんど笑顔のシーンは無く、クールな天才を美しく演じたアルゼンチン系アメリカ人の女優さん。ホラー映画の出演が多く注目され始めたらしいけど、今作のヒット後も出演作が続々。これからが楽しみ!!

出演作:『ウィッチ』、『ニュー・ミュータント』など

 

ミセス・ウィートリー(養母)【マリエル・ヘラー】

 
 
 
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エリザベスの養母。

主婦からエリザベスのマネージャーに転身して娘を支える良きパートナー。

 

この人の憂いある表情が良かったなー。

養子との親子関係を悪く描く作品は多いけど、今作では養子エリザベスの存在に彼女自身も支えられて、共に成長していく親子関係は素敵。

出演作:『幸せへのまわり道』など 

 

ハリー・ベルティック【ハリー・メリング】

 
 
 
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エリザベスの地元ケンタッキー州のチェスチャンピオン。 

 

イギリス人俳優。ダドリーーーーーー(ハリポタファンに届け)!!!すっかり大きくなって…

ダドリー役のせいか嫌なやつ役が多い彼だけど、今回はどうかな…??実はかなり重要な役どころ。

出演作:『ハリー・ポッターシリーズ』、『オールド・ガード』

 

ベニー・ワッツ【トーマス・ブロディ=サングスター】

 
 
 
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一癖も二癖もある変わり者だけど、チェスに関しては天才的な全米チャンピオン。

チェスはオタクっぽい選手が多い中、いつもカウボーイハットで決めている年齢不詳なチェスおじさん。笑

 

イギリス人俳優。(今作は英国俳優多め?)初めて見た時は『ラブ・アクチュアリー』のおませな子役だったのに、大きくなったなー。でも原型は全く変わらないべイビーフェイス。笑

エリザベス役のアニャ・テイラー=ジョイとそっくりだと思ったのはわたしだけでしょうか。

出演作:『メイズ・ランナー:最期の迷宮』、『ゲーム・オブ・スローンズ』など

 

ミスター・シャイボル【ビル・キャンプ】

 
 
 
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エリザベスにチェスを教えた孤児院の清掃員。

一見無愛想だけど、エリザベスの才能を伸ばそうと手助けしてくれたりする心優しいおじさん。

 

多くの映画やドラマに出演し、名脇役と言える俳優さん。

いやー、この人ほとんどセリフも無いし出演時間も短いんだけど良かったなー。主人公との関係が感動的。

出演作:『ダーク・ウォーター』など

 

 

〜ここからネタバレあり〜

 

 

感想【ネタバレあり】 

 

エリザベス

『ソーシャル・ネットワーク』のマーク・ザッカーバーグみたいな、天才特有の感情が読めないエリザベス。実のお母さんは元数学者?で、エリザベスは不倫相手との子供なのかな??精神的に不安定な母親が心中を図るも、自分は生き残ってしまうというなんとも悲しい子供時代。

 

そもそも母親との生活がすでにカオスだったこともあってか、エリザベスは孤児院での生活も悲しそうな雰囲気は無くただ退屈そうなんだけど、なんと子供のうちに薬物依存になってしまうという。てか、子供に無条件で精神安定剤あげるのってアリなの?昔はアリだったの?

エリザベスは大人になっても薬がやめられなかったりするから怖いね、依存って。

 

天才として生きる苦悩

「天才」をテーマにした作品ってものすごく完璧かクレイジーに描かれがちだけど、エリザベスもその他の強豪プレイヤーも、どこか共感できる人間らしさに溢れていたのがすごく良かった。チェスという競技の魅力もそうだけど、エリザベスをはじめとする登場人物達が魅力的なのも今作に引き込まれた大きな理由。 

 

個人的にすごく印象的だったのは…

ラスベガスの大会でベニーに負けて自分を責めまくるエリザベスを養母が慰めるんだけど、それにすら苛立つエリザベス。でも翌朝、タウンズ(ジェイコブ・フォーチュン=ロイド)への気持ちに戸惑いながらエリザベスが帰りのタクシーの中で母の手を握る

…ていうシーン。

 

天才チェスプレイヤーとして若者らしい生活が出来なかったエリザベスだけど、まだまだ未熟なところはあるし、結局少女なんだなーと。

 

ところで…タウンズって何歳?

ケンタッキー州の試合の時ですでに20代半ばくらいだったよね、(エリザベスのこと”Kiddo”て呼んでたし)ラスベガスの大会の時もエリザベスまだ高校生くらいだったはずなのに、なぜそんな年下に言い寄る?…ロリコン!?

 

タウンズイケメンだったし好きだけど、とにかく二人の異様な歳の差が気になって仕方なかった。笑

最後に二人はロシアで再会(タウンズは雑誌記者になってた)し。今度は友情を確かめ合うという。うん、これで良かったのかも。

 

ちなみにタウンズを演じたのは、『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』、『メディチ』などに出演するジェイコブ・フォーチュン=ロイドでした。

 

男社会なチェスの世界

エリザベスは天才的な才能で各地の大会を総なめにするんだけど、初めてのトーナメントでは特に男性ばかりのプレイヤーの中で女性差別的な扱いを受ける。一方、紅一点で超美人ってこともあってとにかくモテまくる。笑

でも本当は初恋のタウンズのことをずっと想ってて…最後には「友情」になる訳だけど、エリザベスにとってチェス以外のことは二の次って感じで、恋愛にのめり込むタイプではなかったよう。チェス以外は二の次でプロプレイヤーに徹するエリザベス、かっこいいけどね。

 

日本も将棋は男性が強いイメージがあるし、同じようなカルチャーなんだろうな。 

最近は”ガールズパワー”を押しまくる作品が多いけど、今作は近いテーマではあるもののうざいほどのプッシュはなくて良かったと思う。かっこいい女性を描く作品は好きだけど、女性でも観てて「もういいよ」ってなることあるよねー。笑

 

豪華な脇役達

「なんかこの人見たことあるんだよなー」っていう俳優さんが多数出演している今作。

特にベルティック役のハリー・メリングとベニー役のトーマス・ブロディ=サングスターは、見覚えある人が多かったはず。子役で大活躍した彼らが、すっかり大人になっていい役者になっているその成長ぶりがみられるのも今作の見所の一つだった。

 

ダドリー役のせいか悪役が多いハリー・メリングも、今作では繊細ないいやつを演じてる。

ベルティックのキャラクター良かったなー。初登場はまた生意気な悪役かと思ったけど、数年経ってまた登場した時にはすごーくいいやつに成長してて感動。そう、人って変わるのよ。5年前に嫌なやつだった人が、今は超いい人になってることだってある!(いや、よくある。)

エリザベスへの片想いは報われなかったけど、潔く身を引いて彼女を支えるベルティックはいい男だ!!

 

一方、トーマス・ブロディ=サングスター演じるベニーはやたらキザな西部の男って感じ。(でもなぜかニューヨーク在住。笑)ベイビーフェイスに口髭が若干違和感あったけど、爽やか青年なイメージの彼が演じる変わり者役は新鮮だった。

どのチェスプレイヤーも、エリザベスに負けたことを根に持つことなくむしろ彼女を支える存在になっていくっていうのが良かった。それがプロなんだなー。みんないいやつだよなー。

 

ミスター・シャイボル

エリザベスがチェスに目覚めるきっかけをくれた孤児院の清掃員シャイボルさん。

孤児院を出て以来ほとんど登場しなかったけど、ミスター・シャイボルのお葬式でジョリーンと孤児院に戻るシーンはちょっと感傷的。ミスター・シャイボルとチェスをした地下の部屋で、エリザベスが載った新聞の切り抜きをずっと集めていたのを見て初めて、彼が影ながら支えていてくれたことと何も恩返しが出来ていなかったことに気付くシーン。泣けたなー。

(「親孝行したいときには親は無し」の典型みたいなシーン)

 

でも、お葬式でエリザベスがジョリーンに「まだ10ドル返してない」って言ってたの聞いて、「返してなかったんかーーーーーーい!!」ってなったわたし。笑 

 

まとめ

今作はストーリーがすごく良かったのはもちろんなんだけど、冷戦でロシアとの緊張感が高まっていた時代背景も興味深かったし、当時のファッションとかカルチャーもお洒落で素敵だった。

 

エリザベスの外見がどんな時でも完璧なのは不自然ではあるんだけど(二日酔いでも寝起きでも完璧なカールヘアとか笑)、アニャ・テイラー=ジョイの赤毛ボブはかわいかったし、プラダのスタイルを彷彿とさせるエリザベスのファッションも見所の一つ。

 

シーズン2は無さそうな終わり方だったし、個人的にはこのまま潔く終わって欲しいと思うけど、ネットフリックスのことだからここまでヒットしたら無理やり続編作るなんてこともあり得そう。笑

 

 

評価

☆星 4.6 個☆

 

※ここまで引き込まれたヒューマンドラマは久しぶりだった。時代は違っても、今の時代も十分共感できる人間の弱さや傲慢さ、素晴らしさが詰め込まれた良作。

※レトロな雰囲気の映像やファッションも好み。