探偵Lの映画ブログ

カナダ在住の映画&ドラマオタクが探偵気分で映画をレビューするブログ

【作中にない事実&ネタバレあり】Netflix『事件現場から:セシルホテル失踪事件』呪われたホテルで女子学生に起きた悲劇の真相に迫る

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「呪われたホテル」として世界的に有名なロサンゼルスのセシルホテルで起きた最も最近(2013年)の不思議な事件がカナダ人学生エリサ・ラムが失踪し、屋上の貯水タンク内で遺体が見つかったこの事件。

セシルホテルは今も営業してるし、オカルトファンが心霊体験のために訪れる心霊スポットでもある。

 

セシルホテルはいわく付きだけど、カリフォルニア史上最悪の連続殺人犯である、ナイト・ストーカーことリチャード・ラミレスが身を隠していたことで特に有名。

mobayuri.hatenablog.com

 

 

今作でも出てくるけど、遺体発見の状況から黒木瞳主演の邦画『仄暗い水の底から』の内容が本件と似ていることでも騒がれていました。

 

この事件は前から聞いたことがあったけど、アメリカのネット民がここまで入れ込んでいた事件だったとは…。

被害者エリサのことを知っていくと、事件の不思議さだけじゃなくて、当時すでにインターネットアクティブでフォロワーも多かった彼女だからこそ、助けたいと思う人たちが集まったんだと思う。

 

実は私がよく見ているトゥルークライム系YouTuberが数人出ていたので、彼らについても触れようと思います。笑

 

 

 

 

知名度の高い事件

一人で旅行をしていたカナダ人学生エリサ・ラムが、セシルホテルに滞在中失踪。数週間後に遺体がホテル屋上の貯水槽内で見つかったという事件。自殺として処理された。

遺体発見のきっかけは、宿泊客から部屋の水質が悪いと苦情が来たため貯水槽を点検したことだった。

 

わたしがこの事件を初めて知ったのは、多分日本で観たテレビ番組「奇跡体験アンビリーバボー」での特集だったと思う。(エリサ・ラムがバンクーバー出身のカナダ人だと知ったのはこっちに来てから。)

 

その頃からミステリーとか実際に起きた事件とかに興味はあったけど、この事件は特にオカルトっぽい要素もあって、「本当に呪いのせいかも」なんて思ってしまいそうだった。(メディアがそれを煽ってたのもあるけど)

 

それも、あの不思議な防犯カメラの映像があったから。

 

ネットフリックスがこの事件を題材にすると知ったときは、正直「今更?」と思ってしまった。パンデミック以来ネットフリックスの犯罪ドキュメンタリー番組がこれまで以上に人気になってきて、悪名高い事件を片っ端から作品にしているような感じがする。

でも、最近の作品はセンセーショナルじゃなくて、しっかり被害者を考慮した内容になっているのには感心。

 

遺族

エリサ・ラムの家族は当然ながらかなり心を痛めていて、この事件に関して声明を出したりテレビに出たりすることもないし、どんな特集やドキュメンタリーのインタビューにも答えていないようだからそっとしておいて欲しいと言うのが被害者側の意向らしい。

 

失踪した自分の子供や兄弟の遺体がこんな見つかり方して、テレビやネットでいろんな噂立てられて、困惑しているような異常な行動の防犯ビデオが世界中で話題になったら、本当におかしくなってしまいそう。

 

この事件が世界的にも有名な分、事件を題材にした作品の制作者にばかり利益が渡って、本当に傷ついている人は「放っておいてほしい」という意向さえも尊重されないのかと思うと理不尽ではあると思う。

 

今作でもきっと取材は受けていないだろうし、そうれを考えると「被害者をネタに製作者側ばっかりがお金稼いでる」ってちょっと思っちゃうよなー。ジャーナリストと言って仕舞えばそれまでだけど。

 

セシルホテルの呪い

「呪いのホテル」なんて言われてるけど、ロサンゼルス自体場所によっては物騒なところだし、ホテル側の無責任な経営体制である手ごろな価格やセキュリティの甘さで、犯罪者に適した環境を作ってしまっていただけなのでは?

作中に出てくるユーチューバーやテレビ番組が撮った映像を見ても、安全そうなホテルには見えないし。

 

これは私も知らなかった事実だけど、セシルホテルは立地からしてかなり治安の悪い地域だったみたいだし。今は知ってるけど、”スキッドロウ”って言ったら(現在も)ロサンゼルスの中でもみんな知ってる荒れたエリア。

 

当時それを知らない旅行客はそんなことを知らずに止まっていたはず。(最初に出てきたカップルとか)

このホテルはセキュリティも万全とは言えない作りだってことも、一目瞭然。この事件も普通だったら殺人事件の線ももっと厳密に捜査されるはずだと思った。

 

ただでさえ事件の多い地域だったから、女性の失踪なんて警察からしたら日常的なことだったのかもしれない。

 

インタビュー

今作では、被害者側以外の関係者が幅広くインタビューされていたと思う。

セシルホテルの従業員・支配人から、ネットで事件を見守っていたエリサのフォロワーまで、多方面からの声が聞こえてくる割には、よく囁かれる「呪い説」よりも、多くの悪い要素が重なってしまったのだと視聴者をなだめるような内容だった。

(正直、予告編やオープニングは「呪われたホテル」を強調するような煽り方でイメージ悪かったけど。印書違った。)

 

でも、

 

個人的に、今作内に登場するユーチューバーのジョン・ローダンの動画はよく観るし、彼が作る動画はすごく被害者の立場に立った思いやりのある内容の物ばかりだから、彼がインタビュー受けてるんなら観る価値があるかもしれないと思った。

(ちなみに、映像でちょこちょこ出てくるYouTubeのメガネの女性(ステファニー・ハーロン)の動画もよく観ます。彼女の動画も事件に敬意を感じる内容ばかりでおすすめ。)

 

ジョン・ローダンのYouTube

www.youtube.com

ステファニー・ハーローンのYouTube

www.youtube.com

 

 

まとめ

ホラーみたいな作品かと思いきや、最後は泣けた。世間を騒がせた「呪われた事件」は、結果的に、とにかく悲しい事件だった。

エリサ・ラムはどこにでもいるような普通の女の子で、私自身もこれくらいの歳の時は彼女のような「迷える若者」だったと思うし、彼女に同情&共感。

 

双極性障害の辛さとか、自分でもどうしようもできない彼女の葛藤が伝わってくるネットの投稿には、特に胸が痛くなった。

文才もあったし、彼女に共感するネットのフォロワーもいっぱいいて、将来有望だったはずのエリサ。こんなふうに有名になりたくはなかっただろうな。

 

作品的に最後は「事故死?」となっていたけど、しっくりくるような来ないような。

もし、エリサが自分で屋上にたどり着いたって言うのなら、セシルホテルは「オカルトホテル」として有名になったことにタカを括らないで、とにかくセキュリティと安全対策を完璧にするべきだと強く思った。

 

あと、全然関係ないのに見た目で疑われたゴスミュージシャンの彼は、どう考えても現実的じゃない推理に振り回されてかわいそうだったな。

Netflixの『猫イジメに断固NO!』見たときも思ったけど、インターネットって恐ろしい。

 

エリサの苦しみを理解する人が増えて、残された家族の苦しみが少しでも言える日が来ることを祈ります。