探偵Lの映画ブログ

カナダ在住の映画&ドラマオタクが探偵気分で映画をレビューするブログ

【深掘り】『アメリカン・マーダー』Netflixドキュメンタリー:全米を震撼させた、イクメン夫による妻子殺害事件の裏側

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『アメリカン・マーダー:一家殺害事件の実録』

このドキュメンタリーの元の事件は2018年8月、コロラド州フレデリックでクリス・ワッツが2人の幼い娘と妊娠中の妻を殺害し、死体を遺棄した事件。

 

この記事ではドキュメンタリー内で語られなかったけど、実は重要な事実をピックアップしてまとめてみました。

 

日本ではそこまで報道されなかったかもしれないけど、事件当時は全米のメディアで大きく取り上げられていた悲惨な事件です。

 

ここまで話題になったのは、おそらくこの家族が絵に描いたような「理想の家族」だったからだと思う。

 

作品内に出てくるシャナンのSNS投稿を見ていると、なんの問題も無い完璧な家族に見えるけど、夫婦の事情や家族関係なんて見かけじゃ分からないもんだなー、とつくづく感じるはず。(SNSなんて、みんな見せたいとこしか見せないからね)

 

私も当時ニュースや記事でクリス・ワッツの事件を見ていて、大人しいイクメン夫・父親として知られていた男性が、ある日突然幼い子供と妊婦の妻を殺害するなんてどうしても想像出来なかった。だからこそ多くの人が興味を持った事件でもあったと思う。

 

事件当時も今も、(大きな事件だとよくあることだけど)犯人クリス・ワッツばかりが注目されて被害者が蔑ろになりがちだったけど、今作はシャナンの家族の協力を得て作られた作品ということもあって、被害者とその家族の悲しみの深さが伝わってくる内容になっています。

涙なしには観れない!!

 

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今作は関係者のインタビュー等も無く、あくまで事件の概要だけに触れているので、事件の詳細や犯行の動機についても掘り下げてみることにしました。

 

 

 

概要

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2018年8月、コロラド州フレデリックで二人の幼児(ベラ4歳、セレステ3歳)と妊娠中の母親(シャナン34歳)が行方不明に。

シャナンの友人が心配して自宅を訪れたところ、家には誰もおらずシャナンの車もガレージに残されていたため警察に通報。

捜査を進めていくうち、隣人の防犯カメラに夫クリスが妻の死体を車に乗せる映像が映されていたことから容疑者として浮上。のちに妻のシャナンと二人の娘、妊娠中の男児を殺した罪で終身刑となりました。

 

 

勝手に捜査官【作中に無い事実&個人的な考察】

今作は実際の映像や記録だけを元に作られているのでとてもリアリティがあるけど、事件の背景や関係者にまつわる詳細までは語られていません。

ちょっと悲しい事実もあるかもしれませんが、実際はどれだけ酷い事件・犯行だったのか分かるはず。

 

 

ワッツ家について

2年間の交際を経て結婚したシャナンとクリスは、仕事のためにノースカロライナ州からコロラド州へ引越し家を購入。当時寝室が5つもある大きな一軒家に住んでいた。家族旅行にも度々出かけており、端から見たら豪勢な暮らしをしていたように見えるはず。

が、実は事件の3年前に夫婦は自己破産しています。その後シャナンは新しいセールスの仕事を始めますが、その頃から夫婦の関係に変化が生まれ始めたと言われています。

 

シャナンが妊娠の報告をするシーン(クリスはかなり困惑&リアクション薄め)からもわかるように、シャナンの妊娠が判明した時点でクリスは家族に関心が無かったようです。のちに、シャナンにそっけない態度を問い詰められたクリスは「新しい子供は欲しく無い」と告げ、妊娠中の定期検診にも超音波検査にも一切同伴しなかったそう。

 

シャナンのSNS投稿を見ていると、優しいイクメン夫、かわい過ぎる娘達、立派な一軒家に住んでいてしょっちゅう家族で旅行に行くような、完璧な家族(夫婦)に見えたはず。

でも実際は金銭的にも決して裕福では無く、夫婦の関係も完璧とは言えなかったよう…

 

 

 

シャナンのSNS

今作中に大量に出てくるシャナンのSNS動画。

実は彼女、SNSを通して商品を紹介する在宅セールス(アメリカの主婦層に人気なマルチ商法のようなビジネス。通称MLM。)の仕事をしていて、そのプロモーションのためにインスタグラムLIVEやFacebook投稿も盛んに行っており、SNSで商品や自身のライフスタイルを紹介することが仕事の一環でもあったよう。

 

作中に出てくる友人とのメッセージのやり取りを見ていても、シャナンは夫との関係について赤裸々に話しているのでオープンな性格なんだろうなーと。その明るい性格もあってかシャナンはセールスとしての営業成績も良く、会社から褒賞として高級車をもらったこともあるらしい。事件前夜のように仕事の都合で出張に出ることも多く、その様子もSNSに頻繁に投稿していたようです。

 

事件前ノースカロライナの実家で過ごしている間、クリスとの関係に深く悩んでいることを友人や家族に相談していたのに、SNSでは幸せそうな家族の投稿を続けていたシャナン。本心では、素っ気ないクリスの態度を見て今後の夫婦関係に不安を感じていたはず。

 

 

クリス・ワッツと言う人物

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作中のクリスのインタビュー映像を見た人は真っ先に「怪しい」って思ったはず。

夫婦に何かあった場合、かなりの確率で配偶者・パートナーが疑われるのは有名な話。そのため、事件時シャナンの家族はクリスにTVインタビューを受けないことを勧めたらしいけど、それを無視してインタビューに答えたクリス。のちにシャナンの両親は「彼がインタビューを受けてくれて良かった」と言っています。それくらい彼の態度は明らかに怪しい。(不安げに腕を組み、時折笑顔を見せながらインタビューに答える彼の様子は異様。)

 

この事件の死体遺棄現場はクリスが数日前に仕事で訪れた油田だし、シャナンの遺体を包んだシーツを放置しているし、死体遺棄に利用したのは会社の車だし…

実際の犯行は完璧とは程遠い内容。にもかかわらず、TVのインタビューでも事情聴取でも(ウソ発見機にかけられた後でさえ)最後まで「自分は無実」と言い続けるクリスの無意味な自信が謎。

 

そもそも大人しいタイプの人柄として知られており、今作を見ていても子供を殺すような危険人物には見えないクリス。でも、事件後の平然とした態度や、犯行を認めつつもシャナンに罪を着せようとする発言などから、サイコパス&ナルシスト的な要素が見受けられるそう。

捜査員に問い詰められても無実を主張し続けクリスだけど、あえて自分に味方するであろう父親相手に自白し、シャナンを悪者にした(自分をよく見せるための)ウソを伝えたことも、最後まで少しでも「かわいそう」で「正しい」ことをした自分のイメージを残したいナルシストの兆候らしい。

 

クリス側の家族と嫁シャナンとの関係は相当悪かったんだろうけど、クリスの母親が裁判中に「わたしはあなた(クリス)を許します。」ていうシーンではなんとも複雑な気分に。(逆の立場だったら許せないでしょうに)

家族仲が悪かったのは仕方ないけど、クリス側の家族はクリスの浮気はシャナンが妻として不十分だったせいだと主張していたり、亡くなった人のことをいろいろ言い過ぎなんじゃ無いかと思う。

 

クリスはネット上で「イケメン」なことを理由に擁護されたり、服役中の今もファンがラブレターを送ってきたりすらしい。(オエッ)

これ、わたしは本当に理解できないんだけど、卑劣な連続殺人犯に逮捕後熱狂的なファンがついたりする現象は割とよくあることで(大体女性ファン)、相手が獄中にいることで自分に危険が及ぶことは無いものの、危ない相手を想う事でスリルを感じるのが喜びになるらしい。(ストックホルム症候群みたいな?)(オエッ)

物好きな人もいるもんですね。

 

 

愛人ニコール

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今作では、ただクリスの不倫相手ってことしか出て来ないニコール(最初に出てくるシャナンの親友と同じ名前だけど別人です)。事情聴取では「クリスとの関係はまだ浅く、奥さんとは離婚協議中だとしか聞いていない」と言い続けていたけど、実際のところ見かけほど「潔白」では無さそう。

 

ニコールは、警察へ出向く前にクリスとの通話・メッセージのやり取りだけでなく、ネットの検索履歴まで全て消去しており(それでも警察はリカバー出来るけど)、「警察はテキストメッセージを追跡できるか」とまで検索しています。笑

二人は夏中ずっと関係を続けており、クリスはニコールとの写真をスマホの偽画像保管アプリ(一見計算機アプリだけど、開けるとアルバムになってるやつ)に保存して隠していたらしい。

 

ニコールとクリスは数年前に職場で出会い、ニコールの方がずっとクリスに好意を持っていたよう。

事件が起きた8月に入ってからの彼女のネット検索記録*1では「妻と別れると言っている男性について」「愛人との結婚」「ウェディングドレス」などを検索していることから、クリスとの将来を真剣に考えており、本人が主張した「ちょっと付き合ってただけ」てわけでは無かったよう。

さらにシャナンのFacebookを訪れた記録も残っており、もし投稿を見ていたのだとしたら夫婦が離婚準備中では無いことも、シャナンの妊娠も知っていたのでは無いかと言われています。

 

さらに、クリス逮捕後の検索記録では「アンバー・フライ*2のネット価値」「アンバー・フライの本の売り上げ」「アンバー・フライは嫌われているか?」などを検索していることから、この事件を利用して一儲けしようとしていたよう。なんてこった。

  

その後ネットで叩かれまくった彼女は、コロラドを離れ名前まで変えてひっそり暮らしているそう。今回のドキュメンタリーで大きく顔出されちゃったのは大丈夫なのかなーと思ったり。

(離婚前の誰かの夫と不倫してたのは悪いと思うけど、あくまでただの関係者だし)

 

 

 

犯行について 

ここからはちょっと読むのが辛くなる内容かもしれません。

(犯行時の詳細は、クリスの逮捕後の事情聴取(罪を全面的に認めた後)で語られた内容です。)

 

死因について、シャナンは絞殺、2人の子供は窒息死だとされています。

絞殺も窒息も「素手」で行う犯行。銃や凶器を使った場合と異なり、絞殺の場合は最低でも4分間全力で相手の首を締める必要があります。窒息も同様。それを相手が死ぬまで続けるには相手を殺そうと言う強い意志が必要。

今作を見ていると、クリスは事情聴取で「どうしてこんなことをしたのか分からない」と繰り返しているけど、わたしは信じられません。その数分間x3人分の間に、一度も後悔したり途中でやめようと思ったりしなかったってことは、彼に強い殺意があって、後まで故意に犯行を行ったと言うことだと思います。

シャナンは抵抗した様子が無い事から睡眠中(常用していた薬のため、眠りが深かったそう)に殺害されたと思われます。クリスはシャナンの遺体を車へ移動中、シーツに包まれて運ばれる母を見て「ママ大丈夫?」と聞くベラに、クリスは「ママは具合が悪いんだ。」と答え、娘達も車に乗せる。

その後シャナンの遺体と共に娘達を遺棄現場となる油田へ連れて行き、娘二人を車内で殺害。

3歳の次女セレステ(シーシー)も抵抗した跡は無いけど、おそらく状況が理解出来ないほど幼かったからだと思われます。5歳の長女ベラは最後の被害者で、隣に横たわる妹を見て「パパ、私にもシーシーにしたのと同じことするの?」と聞き、最後まで必死に抵抗したそう。ベラの舌には抵抗した際に出来た歯形が残っていたそうです。

 

作中に一瞬だけ、娘二人が遺棄されたオイルタンクの入り口の写真が出てくるけど、その幅なんと8インチ(20cm程度)。(映像だとわかりにくいけど)

特に長女ベラは、この小さな穴に押し込められたために身体中に引っかき傷があり、髪の毛も引き抜かれてしまっていた状態で発見されました。オイルタンクの入り口にも彼女の髪の毛が付着していたそうです。

 

こんなことする父親、信じられない。

 

こんなに浅はかでずさんな犯行なのに、ギリギリまでしらばっくれようとしたこの人、本当は潔く罪を認める度胸が無かったんだと思う。

最初にシャナンに娘殺しの罪を押し付けようとしたのも、自分が犯した罪を背負い切れない腰抜けだったかったからだし、最後になって罪を認めて死刑を免れたのだって自分の家族を3人も殺しておいて、自分が死ぬのは怖かったから。

  

クリスの罪には、シャナンと娘ベラ・セレステだけでなく、お腹の中の男の子(ニコと名付けていた)への殺人罪も含まれています。一般的には未出生児への殺人罪が認められることは少ないけど、コロラド州はそれを認めているそう。(Thank god!)

今回は罪を認めたことで終身刑になったけど、子供への虐待や殺人を犯した犯罪者は刑務所内で最も嫌われる存在のため、服役中は囚人仲間にたっぷりかわいがられることでしょう。

 

 

動機

この事件で一番気がかりなことがあるとしたら、クリスの動機。

どんなに考えてもしっくりくるのが思いつかないんだけど、わたしが思いついた可能性としては…

 

1. 妻が憎かった

でも、だとしたらなんで子供まで殺す必要があったのか?

 

2. 全てリセットして新しい生活へ進みたかった

にしては、どう考えてもすぐ自分に容疑がかかるような無計画でずさんな犯行手口。

 

3. 子供が増えるプレッシャーに耐えられなかった

なら離婚すればいいじゃん。それか、最悪逃げる。殺すよりはマシ。

 

クリスは一家殺害の次の日(テレビのインタビューとか受けてる時)にはすでに自宅を売りに出していて、ニコールとの新居探しをしていることから、早速今までの生活をリセットするつもりだったことは分かっています。

 

彼の場合、妻や娘が憎くて殺したって言うよりも自分が新しい恋人との生活を始めるには今の家族が邪魔だったからって言う理由(2)の方が近い気がする。(すごくサイコパスっぽいけど)

それにしてもクリスの犯行はものすごく浅はかで無計画だから、本人がこれで本当に逃げ切れると思っていたとしたらおめでたいやつだな。

 

 

 

家族殺人(Familicide)について

クリスのように誰もが認める良い夫、良い父親だった「普通の人」が、なんの前触れもなく、ある日突然自分の家族を皆殺しにしてしまう、その精神状態や思考がわたしは不思議でしょうがない。

動機はあったにしろ、過去に精神的な病歴も暴力的な兆候も一切ない人が、急にこんな卑劣な事件を起こすことがあるっていう事実が恐ろしいし、家族全員を殺害するような犯人にはどんな背景があるのか気になったので、少し調べてみました。 

 

犯人の傾向

犯人はほとんどが30代の白人男性。安定した良い仕事につき、動機は家族の分裂もしくは金銭的な理由であることが多い。事件が起こりやすいのは子供の学校が始まる前の月である8月(欧米は9月が新学期)だとか。

 …クリスの場合は全部が当てはまってる!!

 

また、その他の動機としては、パートナーへの報復、家族への失望、キャリアの失敗、家族関係崩壊への恐怖、などがあって、最後には犯人自身も自殺する場合が多く、クリスのように何事もなかったかのように罪を逃れようとするケースは珍しいらしい。(これも彼がサイコパス・ナルシストと言われる理由の一つ)

 

作品の最後にもあるけど、アメリカでは男性がパートナーや子供を傷付ける事件が後を経たないと言われています。(だからってこの事件に「アメリカン・マーダー」なんてタイトルは正直どうかと思うけど。)

家庭内暴力はアメリカに限らず世界的に深刻な問題だし、こんな事件が2度と起きないようにするためにも、社会の一員として何ができるのか考える必要があるのかもしれない。

 

 

余談:コロラド州って事件多くない?

トゥルークライム(実際に起こった犯罪事件)オタクのわたし。よくドキュメンタリー観たり記事読んだりするんだけど、コロラドって殺人とか失踪とか多い気がする。自分の親戚がコロラドにいるから、そのせいでわたしが勝手に敏感になってる可能性もあるけど。笑

話題性としてはここ数年でこの事件が最大かもしれないけど、現在進行中の未解決事件も多数。

 

2021年3月には、スーパーマーケットでの銃乱射事件で10人が死亡。

2020年には

11歳の少年が義理の母親に殺された事件…

www.kktv.com

 

実業家の妻が母の日に失踪。夫が所有する土地で遺体が見つかった事件…

www.foxnews.com

 

言わずと知れた「ジョンベネちゃん殺害事件」もコロラドだし、シリアルキラーのテッド・バンディも被害者数人をコロラドで殺害。 

コロラドは山に囲まれた標高の高い州として有名なところ。今作を見ていてもわかるけど、広大な自然に囲まれた土地柄、人が立ち寄らないような場所もいっぱいあるし、遺体を隠すにはぴったりかもしれない…てか、アメリカは国の大きさ的にもそういうところいっぱいありそうだけど。

クリスが遺体を隠した油田も、なーーーーーんにもないところにポツンとあって、本人の仕事との関係&自白がなければ見つからなかった可能性もあったかも。

 

 

まとめ

この作品の良かった点は、最後までシャナンと子供達(被害者)側に立った内容だったこと。

この事件は全米で大注目されて、メディアでも被害者3人より容疑者クリスの名前ばかりが目立ってきたけど、今作を見ると改めて被害者の命の尊さと、それを奪った加害者の身勝手さがよく分かる。

 

ネットではシャナンを叩くような意見もあったけど、彼女が夫を愛していたのはよく分かるし、クリスの気持ちが離れているのを知っていたとしても、2人の子供を一緒に育てる夫婦として関係を修復しようと必死になるのは当然だと思う。

 

優しくて穏やかな父親だったクリスが、幼い子供を素手で殺してオイルタンクに押し込むような人間には決して見えないけど、だからこそ他人の頭の中なんて絶対に分からないんだとつくづく思話された事件。8年間連れ添ったシャナンでさえ、クリスの危険な一面など考えもせず一緒にいた訳だし。

こう言う事件は、どうすれば防げたんだろう。

 

作品内に出てくるたくさんの写真や映像の中で、長女のベラは将来エルサになりたいって言っていたり、次女シーシーはママの真似か小さな爪にマニキュアをしていたり(剥げてるのがまたかわいい)…他人のわたしが見ていてもかわいくて仕方ない子供達。

 ベラとシーシーは、自分を守ってくれるはずの父親にされたことに最期まで困惑しながら亡くなったに違いない。

「パパはヒーロー」なんて歌を歌ってくれる娘に、よくも手をかけられたよなと思う。本当に。悪魔。

 

現在ウィスコンシン州の最上級監護刑務所に服役中のクリス・ワッツは、ただでさえ刑務所内で注目を浴びる存在な上に、このドキュメンタリーが公開されたことで自分のプライベートが大衆の娯楽として消費されることをひどく嫌がっているそう。(People誌より)

 

この事件を通して分かることは、

どんなに美男美女の理想のカップルでも本当の事情は誰にもわからない、という事。

既婚者とは付き合うな、という事。

浮気するなら潔く離婚しろ、という事。 

かな。

 

天国でシャナン達親子3人が幸せに暮らしていますように。

Rest in peace 3 angels...

*1:逮捕後、警察はニコールのスマホとPCを押収していて、彼女とクリスとのメールのやり取りからインターネットの検索記録まで把握されている上に、全てネット上に公表されています。(すごいな)

*2:妊婦の妻殺しで服役中の殺人犯スコット・ピーターソン(この事件もメディアにかなり取り上げられた)の愛人で、スコットの逮捕に協力した女性。でもこの人はスコットが結婚していたことを一切知らなかった上に、事件後スコットの盗聴を手伝うなど警察に全面協力した。

【ネタバレあり】Netflix『エノーラ・ホームズの事件簿』続編制作決定!!ミリボビ主演、シャーロック・ホームズには妹がいた!?

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『ストレンジャー・シングス』のミリー・ボビー・ブラウン主演。

あの名探偵シャーロック・ホームズには歳の離れた妹がいた、っていうミステリー好きにはなんともワクワクする設定。

 

今年5月には続編の制作も決定し、今後シリーズ化しそうなエノーラ・ホームズ。

 

シャーロック・ホームズの原典には登場しない妹エノーラですが、実はナンシー・スプリンガーによるティーン向け小説シリーズ『エノーラ・ホームズの事件簿』が原作。(現在すでに5作品発行されています。)

 

こちらが今作の原作本↓


 

 

ちなみに今作の予告編はこちら

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でも、ミリー演じるエノーラがとにかくハマり役だし、キャストが豪華だし、大人から子供まで楽しめる映画だと思います。

ミリボビちゃんファンは必見!!

 

監督は『キリング・イヴ/Killing Eve』のハリー・ブラッドビア。

「Netflixのテレビ映画にしてはやけに手が込んでるなー」と思ったら、

新型コロナウイルス流行のために劇場公開が断念されたためNetflixが配信権を獲得し、Netflixオリジナル映画として配信されたんだとか。

(ミリー・ボビー・ブラウンのおかげでNetflixボロ儲けじゃんか笑)

 

 

 

 

ストーリー

母と二人でホームズ家のお屋敷で暮らしていたエノーラ。が、16歳の誕生日に突然母が失踪。

母の居場所を突き止めるため、兄マイクロフト&シャーロックが実家に戻って来る。

母を探すため、兄達を振り切って単身ロンドンへ出たエノーラは、失踪中の若き貴族との出会いを機に恐ろしい陰謀に巻き込まれる。


 

 

 

キャスト

エノーラ・ホームズ【ミリー・ボビー・ブラウン】

www.instagram.com

母から独自の教育を受け、自由奔放に育てられた16歳の少女。

 

『ストレンジャー・シングス』のイレブン役で一躍有名子役となった演技派女優。

母国のイギリス人としての役を見たのは初めて。イレブン役と比べたらすっかりお姉さんになってしまったミリーだけど、無邪気でおてんばなエノーラ役がぴったりでひたすらかわいい!そして相変わらず演技も素晴らしい!

 

最近はコスメブランド「フローレンス・バイ・ミルズ」を手掛けるなど、ビジネスウーマンな一面も。姉のペイジと共に今作のプロデューサーとしても名を連ねています。

一段と大人っぽさが増してきてるから、少女役のミリーが見られるのもそろそろ終わりかなー。

 

代表作:『ストレンジャー・シングス』、『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』など

 

シャーロック・ホームズ【ヘンリー・カヴィル】

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言わずと知れた名探偵。ホームズ家の次男。

 

オリジナルのシャーロックとは(個人的に)イメージ違うマッチョホームズ。嫌いじゃない。笑

最近では自身のインスタでゲーム用PCの組み立て動画をUPし「地球上で最もホットなオタク」としてネットを騒がせた彼。笑

この人の自然体で飾らないところも魅力。

 

代表作:『マン・オブ・スティール』、『ジャスティス・リーグ』、『ウィッチャー』など

 

マイクロフト・ホームズ【サム・クラフリン】

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ホームズ家の長男。

保守的な考えの持ち主で、女性らしくないエノーラの奔放さが気に入らない。

 

実際にはシャーロック役のヘンリー・カヴィルより年下だけど、今回は兄役。

この人時代ものの衣装が似合うよねー!シャーロックとはまた違った雰囲気の厳格で嫌な兄役と口髭がハマってた。

 

代表作:『ハンガー ゲームシリーズ』『スノーホワイト ]』、『ピギーブラインダーズ』など

 

テュークスベリー子爵【ルイス・パートリッジ】

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公爵家の息子。

失踪中にエノーラと出会う。

 

17歳のイギリス人俳優。どのアングルでも美しい美少年!最近流行りのティモシー・シャラメ系イケメン(Tiktokとかにいそう)て感じで、今後人気爆発しそうな予感。

まだ学生だけど、卒業したら本格的に俳優業に専念する予定だとか。来年公開の『The Lost Girls(原題)』(歳を取ったウェンディが登場する、ダーク版ピーターパンらしい)では、ピーターパン役。楽しみだわ。

 

代表作:『メディチ』

 

ユードリア・ホームズ【ヘレナ・ボナム=カーター】

マイクロフト、シャーロック、エノーラの母。

女性は良き妻になることが良しとされていた時代に、自由奔放な教育でエノーラを育てる。エノーラの16歳の誕生日に謎の失踪を遂げる。

 

ちょっと変わり者女性役がもはや定番のヘレナ・ボナム=カーター。

彼女の独特な雰囲気大好き!

 

代表作:『ハリー・ポッターシリーズ』、『アリス・イン・ワンダーランド/時間の旅』、『オーシャンズ8』など

 

 

〜ここからネタバレあり〜

 

 

感想【ネタバレあり】

ミステリー要素

ホームズが出て来るからって本格的なミステリーを期待するとちょっと拍子抜けするかも。もうちょっと本格的なミステリーを期待してたらそっちじゃなかった。笑

 

でも、これはこれで面白い!!

ミリー人気にあやかっただけの映画かと思いきや、他のキャストも豪華で何よりイケメン率高し!!笑

 

どちらかというとティーン、家族向け映画なのかな。謎解きどうこうよりも、ティーン探偵として奮闘する天真爛漫なエノーラの冒険と成長が見所。ミステリー映画というよりは冒険物語って感じ。ミリーのアクションシーンもあるしね。

 

でも、名探偵シャーロックが出て来る割には特に活躍は無いから、シャーロックファンが見るとちょっとがっかりするかもしれない。シャーロックの魅力もイマイチ発揮されていなかったかな。

個人的にはもうちょっと兄妹二人のコラボが見たかった!!

 

 

ミリーがかわいい!

とにかくお茶目なミリーの魅力満載の作品でした!

母と娘の絆を感じる秘密の暗号や、カメラに語りかけながら推理するスタイルもかわいい。(エノーラ(Enola)を後ろから読むとAloneになるっていう文字遊びもかわいい。)

 

ティーンエイジャー特有のみずみずしさと無邪気さが羨ましい限りだわ。笑

今作にはテュークスベリーとのラブストーリー要素もあったけど、ティーンエイジャーらしく甘酸っぱい初恋として終わったのはむしろ好印象。『ストレンジャー・シングス』の時みたいにチューとかしてくれなくてよかったわーほんと。笑

そもそもエノーラのキャラ的に、「ここで貴族のイケメンと落ち着くよりもっとやることがある!」って感じなのかも。

 

 

ガールズパワーを猛プッシュ

最近のガールズ映画に多い、フェミニズムを強く押して来る感じ。

時代設定的に当時は男性優位な社会だったんだろうけど、女性が自分で道を切り開いてもいいんだっていうメッセージが込められていたのかなと。

 

自立する女性を後押しするようなトレンドには大賛成なんだけども、じゃあ結婚して良いお母さん・良い妻になりたいって言う女性は「野心のないダメ女」かって言ったらそうじゃないし、作品によってこの辺のプッシュの仕方が難しいよなーといつも思う。

 

今作は、時代背景も考慮してある程度の過激さ(母の秘密結社とか、爆弾作戦とか)は眼を瞑るとして、革命家の母によって奔放に育てられたエノーラだからこそ、自分の道を突き進みたいっていう気持ちも伝わって来るピュアな動機が良かった。

 

 

社会派でもある

テュークスベリーの家族も母の失踪も、政治的な背景が所々に散りばめられている今作。

今後の国の未来に影響する選挙権改正で危機を感じる人(マイクラフトとか)も、変化を望む人(エノーラの母とか)もいる。

散々自立した女性像をプッシュしておいて、黒幕が実はおばあちゃん(保守派の女性)だったってところも、興味深い。「古き良き時代」に執着するあまり、自分の息子や孫の命まで狙うとは。

 

政治について、自分はシャーロックと同じ中立だと思っていたけど、柔術の名手エディス【スージー・ウォコマ】の名言にはさすがにハッとしてしまったわ。

www.instagram.com

 

(ちょっと話飛躍するけど…)

わたしもカナダに住んでいると、やっぱり(日本と違って)人種の優位性とか不平等を感じることが少なからずある。最近の「#Black Lives Matter」運動がいい例だけど、そこに存在してるだけで他の人種より優遇される人・不利な扱いをされる人がいる。

 

そう言うことって今の社会の仕組みに不自由してない人・差別されたことがない人(人種問題でいう白人達)には分からないし、むしろ権力者にしてみれば変えたら自分が不利になるんじゃないかって言う不安から変化を恐れる傾向があったりもする。

 

だから、変化のためにはエノーラの母達みたいに声を上げて戦う(爆弾はどうかと思うけど笑)必要があるのかも。

日本でも、女性がセクハラ問題を訴えただけで不当な扱いを受けたり、著名人が犯罪を犯しても超軽い刑(もしくはお咎めなし)しか受けなかったり、理不尽な事件見かけるけど、自分に直接関係ないからって誰も何も言わなかったら今後もそのままなんだよーってことだよな、と思ったりするのでした。

(長々失礼) 

 

 

続編は!?

結局最後、母親との再会は果たしたものの、お母さんまだ家には帰って来なそう。

そして今後はシャーロックがエノーラの面倒を見ることになり、エノーラもこのままロンドンに残りそう。

 

このまま「はい、おしまい」ってわけでもなさそう???!!

 

だから、今回シャーロックがおまけみたいな感じだったのは逆に今後のコラボがあり得るから!?とちょっと期待。

実際、原作小説は今のところ5作品出てるし、このままシリーズとしても全然行けるじゃん!笑

 

ミリーが今16歳だから原作のエノーラ(14歳)より年上だし、今後いつまでティーンエイジャー役できるかってとこはあるかもしれないけど、このままのキャストで新しい展開があるなら楽しみ!!

 

 

まとめ

 

☆星 3.8 個☆

 

※とにかくミリーがハマり役!彼女の魅力が存分に現れている作品だった。

※キャストが豪華!ミリー人気に頼っただけの作品かと思いきや、他の名俳優陣もいい味出してた。

※個人的に大好きな時代設定。カメラに向かって語りかけるエノーラのフラッシュバック推理法(?)も面白い。

※ミステリーファンとしては不完全燃焼な内容。ホームズが出て来るのにミステリーが薄っぺらく、先が読めてしまうありがちな展開はちょっと残念。

 

Netflix『新米刑事ヴァランダー:シーズン1』若きヴァランダー刑事がイケメン!!

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スウェーデン人小説家ヘニング・マンケルの『刑事ヴァランダー』シリーズ。

イギリスではケネス・ブラナー主演でドラマシリーズとしても放映されています。(実は知らなかった)

 

今作は、そのヴァランダー刑事が新米だった頃のストーリーという設定。

でも、時代設定は現代。(かな)

 

原作とTVシリーズ見てなくても十分楽しめる内容!

そして主人公が爽やかイケメン!!笑

 

『女刑事マーチェラ』、『ボディガード』とかが好きだったら楽しめること間違いなし!

スウェーデンの作品だけど、全編英語です。

 

 

 

 

ストーリー

警察官からいきなり昇進した新米刑事クルト・ヴァランダー。移民に関連する残忍な事件に居合わせたヴァランダーは、国民感情を煽る大きな騒動へ巻き込まれていく。 

  Netflixより

 

 

キャスト

クルト・ヴァランダー【アダム・ポールソン】

www.instagram.com

スウェーデンの俳優&ミュージシャン。

やる気に溢れる新米刑事を演じる正統派イケメン。

 

ピュアで熱意溢れる若きヴァランダー刑事のイメージにぴったりだったと思う。

今後シリーズの主役としてたくましく成長していく姿が楽しみ!!

 

ヘムベリ【リチャード・ディレイン】

クルトの上司。

事件を通してクルトと絆を深めていく。

 

モナ【エリス・チャペル】

移民・難民の支援を行うシェルターで働く女性。

 

グスタフ・ムンク【アラン・エリス】

財閥の御曹司。

モナが働くシェルターで移民・難民の支援をしている。

 

 

〜ここからネタバレあり〜

 

 

感想

エッジィな世界観

ヨーロッパ系犯罪ドラマのエッジィでダークな作品の雰囲気大好き!

今作もその雰囲気は残しつつ、主演のアダム・ポールソンの爽やかさと良くバランス取れてたのかも。笑

 

でも、最近のヨーロッパ系犯罪ドラマは大体移民・難民が関わる犯罪をテーマにする作品が多いけど、もうそろそろ別の話題に移行してもいいんじゃない?

実際にヨーロッパで大きな問題になっているのはわかるけど、欧州刑事もののパターン化している気も。

(それに、いつも弱者や悪者として描かれちゃうイスラム系の人たちが気の毒に感じる時がある…)

 

でも、ストーリー的には登場人物の関係性が入り組んでて面白かった。

元の『刑事ヴァランダー』の雰囲気はわからないけど、若い刑事の熱意溢れる感じと、権力にものを言わせる大富豪家族との戦いみたいなのも見応えあったし。

でも、この展開も定番化してるよね、最近の刑事系ドラマ。

 

 

ナイスな脇役達

ヴァランダー刑事を取り巻く脇役が主演と同じくらいいい味を出してる。

 

ボスであるヘムベリとの親子のような絆は微笑ましかったし、最後殉職したヘムベリの無念を思うと辛いなーと…泣

(クルト警察辞めちゃったけど、シーズン1では終わらないだろうからまた戻ってくるのでしょう。)

 

個人的に一番好きだったキャラクターはバッシュ【チャールズ・ムネネ】。ギャングのボスとしての悪かっこいい雰囲気とか、クルトとの友情が芽生えて協力するのとか、正義のために良いこともする悪い男ってかっこいいよね。ちなみに声も素敵。

 

ガールフレンドのモナ、女優さんはすっごくかわいいんだけど、キャラクターのポジションが微妙。学生みたいな雰囲気なのに、グスタフ・ムンク家族との関係に現実味が感じられなくて「???」て感じ。

 

クルト自身も、超定番なイケメン熱血新人なだけじゃなくて、もうちょっとオリジナルな人格設定があってもよかったんじゃないかなー。『女刑事マーチェラ』のマーチェラほどではなくても、もうちょっとクセのあるキャラクターだったらもっと面白かったと思う。

 

 

良質アクション多め

作中、爆発のシーンとか暴力系なシーンとかが結構リアルでドキドキした。

最初の男子生徒の爆発殺人なんてやけにリアリティがあって悲惨。

 

最後にヘムベリが爆発に巻き込まれちゃうシーンなんてリアルで怖かったー!

どうやって撮ったんだろー、本当に日に飲まれていく感じに見えた!

 

 

評価

 

☆星 4 個☆

 

 

※クルトがやたらイケメン!でも存在感はイマイチ?

※ダークでエッジのきいた世界観はかっこいい!今後のシリーズが楽しみ!