まさか実話とは思えない映画のような強盗事件の裏側を描いたドキュメンタリー。
日本でも「奇跡体験!アンビリーバボー」で取り上げられたことがあるようです。
(作中でも一瞬当番組の映像が日本語で登場。あのナレーションすぐわかった!笑)
この前偶然、ジェシー・アイゼンバーグ主演の『ピザボーイ 史上最凶のご注文』というコメディ映画を見つけたんだけど、設定からして完全にこの事件から発送を得ているなと!笑
見たことないけど、コメディみたいだしちょっと面白そう…
登場人物も多く、実に複雑な事件だけど、関係者がみんな強烈なキャラクターなので簡単に覚えられるはず。笑
概要
2003年、ペンシルバニア州のエリーで起きた奇妙な銀行強盗事件。
男が首に爆弾を巻き銀行強盗に入ったとの通報。男はピザ屋で働く中年男性ブライアン・ウェルズだった。警察に取り囲まれた彼は、ピザの届け先にいた黒人達に爆弾を巻かれて銀行強盗するように指示されたと主張。彼は犯人から受け取ったという手順書を保持しており、そこには強盗の指示とその後の行動を指示する内容も書かれていた。警察は爆弾処理班を呼ぶが、間に合わず爆弾が爆発し、ブライアンは死亡。容疑者が死亡したため捜査は難航する。
しかしその後、ピザの届け先だった場所のすぐそばで冷凍庫に入った遺体が発見され、2つの事件の繋がりが少しづつ判明していく。
このドキュメンタリーを観ずに話だけ聞いたら、なんとも複雑でドラマチックな事件だから、オーシャンズ11みたいな集団が仕組んだ事件をイメージするかも。
でも、実際の容疑者達を見ると「え、この人ら?」て思うはず。(失礼)
事件の関係者はみんなゴミ屋敷に住んでたりドラッグ中毒者だったり、いわゆる「アウトサイダー」ばかり。こういう人達を見て「頭のキレる天才」(今回の場合は悪の天才だけど)とはまさか思わないだろうね。
でも、全米が注目し、地元警察だけでなくFBIをも心底悩ませた大胆で巧妙な事件。
劇中は結構エグい映像が度々出てくるので要注意。
爆発のシーンもほぼそのまま映像が出てくるから、気を付けて観てくださいな。
〜ここからネタバレあり〜
作中になかった情報
些細な事実ですが、一応。
ドラッグの売人・ケン
ケンはドラッグの販売人になる以前、テレビの修理工として働いていた。そのため機械を触ることに慣れており、彼が爆弾を作ることも可能だったと言われている。
爆弾
当時メキシコのドラッグディーラーが使用していたものと作りが非常に似ていたことから、その組織がらみの犯行が疑われたこともあった。
勝手に捜査官(a.k.a 個人的な意見)
この事件について、勝手に推理してみました。
冷凍庫の遺体
冷凍庫に詰め込まれたジェームズ・ローデンのことは、ドキュメンタリーではついでくらいにしか語られてないけど、彼もこの事件の被害者。
ケン(だったと思う)が、ジェームズは銀行強盗計画のドライバー役だったけど怖気付いていたと言っているし、マージョリーは浮気が原因で殺したって言ってるけど、それは自分が銀行強盗に関係ないと主張しているからで、本当は罪悪感を感じていた彼の裏切りを阻止するために殺したんじゃないだろうか。
ビル・ロススタインの動機
彼の動機は死ぬ前に世間に自分の存在を知らしめてやることと、自分を振った&操って来たマージョリーに復讐することだったんじゃないかと思う。
彼は裁判の前に癌で亡くなってるし、きっと自分が長くないって知っててマージョリー達と計画を練り始めたんだろう。もし爆弾を作ったのがビルで、強盗に入ったブライアンが指示を完結する前に爆破するって知ってたなら、盗んだお金が目的じゃ無かったはず(ケンとマージョリーはお金が手に入ると思ってたかもだけど)。
事件のあと、冷凍庫に死体があると自ら通報。
マージョリーに信頼されていたことを利用して恋人の殺害を警察に告げ口し、銀行強盗の首謀者も彼女に擦り付けて陥れる。しかも家宅捜索されるって分かってて「ウェルズの事件とは無関係」なんて書いた遺書をあえて残してるんだから、銀行強盗と殺人の繋がりを警察に気付かせたかったんだろう。
でも自分が銀行強盗に関与した証拠は無いと思ってたし、死んじゃったから裁判にもかけられなかったし、これで自分だけ「伝説」になるとでも思ってたんじゃないか(彼のエゴの大きさよ)。おめでたいな。
ブライアン・ウェルズの関与
ブライアンは計画を立てる側ではなかったかもしれないけど、彼らの計画を知ってはいたと思う。
宝探しが好きだったりピュアな性格だったりしたから「これはゲーム」「爆弾は偽物」みたいなことを言われて、利用されたんだろう。悲しいことに。本当に爆発して自分が死ぬとは思ってなかっただろうから、殺されたってことにはなるけど。
ドキュメンタリーの最後に、ジェシカが彼は計画について「何も知らなかった」って言っているけど、ジェシカ自身が計画を知らない(と主張してる)んだから彼が関係しているかどうかなんてわからないのでは?子供の父親が彼ブライアンだったから、彼の名誉のためにインタビュー受けたんだろうな。
正直、利用されて殺された人を「共犯」だとは言いたくないけど、100%被害者っていうのは辻褄が合わない気がする!(ごめんよ…)
感想
全部見て、最後は極悪なはずの犯人達にちょっと同情してしまった。
マージョリーは間違いなくサイコパスだろう。
若い頃の写真ではすごくおしゃれで綺麗だし、誰もが賢い人だったって言ってたのに、どこで変わってしまったんだ。なんとももったいない人生。彼女自身、精神を病んでいることに自覚があって何度もセラピーに通ってるし、状況を良くしたい気持ちはあったはず。でも結局どっかで諦めて、もうどうでも良くなっちゃったんだろうな。
不気味な見た目(眉毛無いからかな)と「ザ・意地悪おばさん」な喋り方から、観始めた時は良いイメージ持てなかったけど、取材したジャーナリストとのやり取りから彼女の弱さや葛藤が見えて、少し同情。(こうして人の心を操って来たのか、マージョリー)
FBI捜査官達の取材でも度々犯人達の賢さが語られてるけど、それだけ複雑な事件だったんだろう。彼らは、アウトサイダーな自分達にもFBIを煙に巻くほどの頭脳と戦略があることを社会に見せつけてやろうとしたんじゃないかな。なんともひどい方法だけど。(結局はお互いに裏切られまくると言うカルマ)
この事件はとにかくブライアン・ウェルズの行動と死が一番大きな謎だし、そこに焦点が当てられるのは分かるけど、爆発の映像とか、遺体が下着姿で横たわってる映像は死者への敬意がが感じられなかった。当時のマスコミが撮影したんだろうけど、正直不快。そりゃ家族もアグレッシブになるわ。
一方で、マージョリーが殺したジェームズ・ローデンについてはおまけくらいにしか話されなかったけど、彼も被害者だし、殺された挙句冷凍庫に入れられてるんだよ!
ちょっとかわいそうな扱いだったなぁ。
この事件、ビル・ロススタインがジェームズの死体について通報しなかったら全貌は分からななかったかもしれない。
私はこの銀行強盗の首謀者はビル・ロススタインだと思うな。キャラクター的にマージョリーがメインのストーリーだけど、本当の邪悪な天才(Evil Genius)は彼だと思う。
まとめ
☆星 4 個☆
※犯人の事件の前後についてや、人物像に迫っている内容は興味深かった。
※一部映像がエグいし、同じ映像が何度も出て来て「もういいよ」ってなる。
※もともと事件を知ってたからかもしれないけど、最後のジェシカのインタビュー以外「このドキュメンタリーでしか観られない」的な内容は無かった。
事件自体がぶっ飛んでるから、ストーリーは面白くない訳が無い。
ただ、どこで彼らが道を逸れたのか(特にマージョリー)もうちょっと突っ込んだ情報があったらもっと面白かったかも。