探偵Lの映画ブログ

カナダ在住の映画&ドラマオタクが探偵気分で映画をレビューするブログ

【ネタバレなし】Netflix『私のトナカイちゃん』実話から着想を得た、怖すぎるおばちゃんストーカーの胸糞ドラマ

お久しぶりです!!

そして、久々にネタバレなしの概要&関連ニュース紹介記事です。

 

 

稀に見る胸糞ドラマ

これ、まさかの実話。

(全部が全部ってわけじゃじゃなくて、経験を基に膨らませた話らしいけども。)

どこからどこまでリアル?って思うんだけど、、、主人公の周りで起きる負のサイクルが怖いほどスムーズにハマっちゃってんのよ。

 

おかしなタイトルだなーと思って気になってる人は多いはず。最初はちょっとコメディ要素もあるのかと思ってた。ネトフリのジャンルも”TVコメディ”になってるし。

確かに、面白おかしく描かれてるシーンもあるけど、全然楽しい可笑しさじゃないのよ。笑

 

普通、ストーカーの話って聞いたら被害者は女性で加害者は男性っていう勝手な世間の固定概念があると思うんだけど、その逆を言った問題提起的なドラマかなーとも思ったの。

そんな生やさしいもんじゃなかったわ。笑

 

なんか人気だからー、ってことでなんとなく観たら後悔するかも。

キャラクター誰も好きになれないし(一人を除く。後で話す。)、共感できないし、不快なドラマだと思う人もいると思う。ほんと、人間の醜いところ全部詰まった話のような気がするわ。

 

カナダじゃ公開からもうずっとトップ3を維持してるんだけど、こんな胸糞なドラマみんなそんなに見てるの?笑

病んでんなー、世界。と思ってしまいました。笑

 

ただのストーカーの話だと思ったら、それだけではない。

いろんなサスペンスやらTRUE CRIMEやらを観てきてる私が言っているので、信じて欲しいんですが、これから見る人は心の準備をしておいた方がいいと思う。ストーリーが進めば進むほど不快度増すよ。笑

ストーカー、虐待、レ○プ関係の描写が結構生々しく描かれているので、苦手な人は心して観て。

 

今作で起こることはことごとく卑劣で醜い。いろんな負の出来事の連鎖が全て悪く作用してしまった場合の最悪例集めたみたいな。笑

我々の周りにいる、なんてことない普通の人でも、実はとんでもない秘密や傷を抱えて生きているかもしれないなと、ズーーーンとした気持ちになります。ほんと。

 

 

癖強なキャラクター

本作で製作総指揮・主演を務めたリチャード・ガッドの実体験が基になっていて、元々彼の舞台作品だったものをドラマ化したものだとか。

 

主人公のドニーを演じるのは、役柄と同様にコメディアンであり役者のリチャード・ガッド。ちゃんとするとイケメン。

リチャードの演技めちゃハマってます。上手い!!

そしてドニーは怖いほどリアルなダメ男。笑

かわいそうだけど、どうしても同情しきれないタイプのダメ主人公なのよ。

 

勤務中のバーで、どこか悲しげな中年女性(マーサ)に無料でお茶を出してあげたことをきっかけに気に入られて、毎日大量のメールを受け取るようになるんだけど、この人、優しさが全部裏目に出ちゃうのよ。

いつも、「やめときなさいよー」ってことをしっかりやっちゃうの。

 

一方のストーカーおばさん・マーサはジェシカ・ガニングが演じています。

二人とも、そこまで大きな作品には出演しておらず、ローカル作品(UK内の)がメイン。彼女もまた実力派の女優さんです。

 

本作では白髪混じりの狂った中年女性がめちゃくちゃにハマっていたけど(褒め言葉なんだけどそう聞こえないw)、実際は笑顔が素敵でフレッシュな可愛らしい女優さん。

この笑顔が本作ではものすごく不気味で狂気的にしか見えないんだからすごいよね。

 

今作のマーサもそうだけど、ストーカーって、どうしても”かわいそうな人”なのよ。

愛に飢えてて、愛情表現が歪んでて、

 

そして、もう一人の重要なキャラクターは、テリ。

この人が唯一まともで共感できて好感持てるキャラクターです。(ドニーの両親もいい人たちだったけど)

演じたナヴァ・モウは、メキシコ出身のトランスジェンダー女優さんなんだけど、わたしは言われるまでそんなこと全く気づかなかった。

ドニーがもっとちゃんと向き合っていたら、もう少し人生明るかったんじゃないかと思う。綺麗な人です。ドニーにはもったいないです。笑

 

ストーリーが進んでいくうちに、ドニーもマーサも似たもの同士で、お互いにある意味”傷モノ”としての共通点を見つけてしまい、惹かれあってしまったのかもしれない。

 

人間関係ってこう、ベトッとしたお互いへの執着で成り立ってしまう場合もあって、ある意味作者のリチャードも、この作品を通してまだ”マーサ”と繋がっていようとしているような気もした。
(作品のネタに利用しているにしろ、復習しているにしろ、、醜い過去として忘れてしまおうとは思ってない気がする。)

 

 

実際の”マーサ”

製作総指揮・主演を務めたリチャード・ガッドは当初、「マーサは実際のストーカー女性とはかけ離れたキャラクターで、誰も特定できないだろう」なんてこと言ってた記事を見たけど、女性は本作公開後に即特定され、誹謗中傷を受けたことを訴えていました。

 

でもさ、本人のインタビュー見たら、この人もはやマーサのまんまなんだが。笑

隠す気あった??笑笑

こんなに寄せちゃてるのは、もはやリチャードの復讐なのでは?と思っちゃいます。笑

 

↓↓以下の記事からストーカー当事者のインタビュー見れます

youtu.be

 

この人、本当は注目浴びるのが好きなんだろうなー。

 

 

で、観るべき?

作者・主演のリチャードは、これだけ重い内容の作品を作って、実体験に基づいてると言って世に出すこと、結構な度胸だと思う。

 

こういう問題作は、気持ちのいい作品じゃないし、観ることに抵抗はあるかもしれないけど、その後にすごくいろいろ考えてしまうの。

わたしはそれが結構好きで、こうやって記事にしたりもするけど、「面白かったよー」的なノリでオススメしたい作品ではないかな。

 

でも、いろいろ考えて、消化するのが好きな人には向いてると思います。あとは、実話ってことを気にしすぎず、ホラーだと思って観ればいいのかもね。笑

 

何度も言うけど、変なトラウマになっちゃう人もいそうだから、心して観てください!!

 

今作をみて、人って結局、どんな状況でも愛に飢えてるんだなーと思ったし、愛に貪欲な人たちの不器用で真っ直ぐな欲望って、時に恐ろしいなと。

愛って歪んでしまうとこうなっちゃうのねっていう。

 

でも好きなんだよなー、こう言う病んでる話。笑