探偵Lの映画ブログ

カナダ在住の映画&ドラマオタクが探偵気分で映画をレビューするブログ

【ちょっと辛口&ネタバレあり】『ザ・バットマン』過去最高にダークでエモい、新バットマン!!

シュナイダーカットか!!ってくらいに長め(それは大袈裟)だった今作だけど、ストーリーの流れが良くて最後まで楽しめました。

 

あの、いかにも海外メディアがとってつけたような不自然な日本語との組み合わせがいまいちだった国際版?予告編…

でも、大好きなゾーイ・クレヴィッツのアクションと、吸血鬼からコウモリへの変貌を遂げたロバート・パティンソンのブルース・ウェインは楽しみにしておりました。

 

結局バットマンは顎のラインが重要なわけで、そういう意味ではロバート・パティンソンは適役だったのでは?

新ブルースのウェットな黒髪、チンピラにも殴り返されてしまうちょっと弱くて自信なさげなエモみも、ある意味親近感。スーパーヒーローにも苦しみやトラウマがあって、それを持ちながら市民のために「自分が思う正しいと思ったこと」をするっていう。

 

冒頭にアジア人青年を助けるシーン、ついにここ数年で増えてたアジア人を狙った暴力事件に目を向ける映画が出たんだなと。

 

そして、この「自分が思う正しいと思ったこと」っていうのが今作のキー。

今作のヴィランであるリドラーも、やり方は過激ながらも彼なりに「正しいと思ったこと」を貫いていて、その”正義”がどこにあるのかっていうのが今作の焦点ではある。

 

ここはDC作品の面白いところではあるけど、ストーリーの焦点が必ずしもヒーローではないという。今作も、個人的にはサスペンス映画って感じ。

リドラーも、ヴィランというよりどこにでもいそうな悲しいサイコパス?として描かれていて、DC作品では今までで一番くらい”ヒーロー感”が薄すぎかなーと思った、個人的に。

 

バットマンシリーズは大ファンだし、DCのマーベルとは違うヒーローの描き方も味があって好きだけど、今回は新・バットマンということで、あえてちょっと辛口めにレビューを書いてみます。

 

 

 

 

名探偵ブルース

日頃サスペンスばかり見ている私としては、サスペンスにしてはちょっと深みが足りなかったし、ヒーロー映画としての痺れるかっこよさもイマイチ…

ただ、ヒューマンドラマとしては面白かったかも。

 

スーパーヒーローなバットマンも好きだけど、やっぱり『ダークナイト』以降その芸術性とか作品性に注目されがちなバットマンシリーズ。だからか、今作もヒーローよりもそのストーリー性に重点が置かれてたんだと思う。

 

正直、「フレンドリーネイバー、スパイダーマン」でもないのに、なぜか警察に協力して殺人現場に現れるバットマンがとても不自然。笑

もはや名探偵ブルース。刑務所でリドラーを聴取?する姿も、豪邸で証拠を集めて捜査する姿も、ヒーローというよりもDetectiveだった。

 

いつもバットマンが乗ってるゴツいバイクとターボ戦車(ほぼ)の活躍も少なめ。

ほんとにラストのキャットウーマンとのさよならシーンくらい。しかもあのシーン、バイクのCMかと思うくらい長い。笑

 

あと、今回はどうなるのかと気になっていたアルフレッドは、オリジナルな執事アルフレッドでも、全シリーズのクールなアルフレッドでもなく、父アルフレッドだった。(ゴラム…)笑

乳母ならぬ乳父?的な存在として描かれてたのは、これまたブルースを親近感のあるキャラクターとして描くために一役買っていたと思う。

 

 

怒りのキャットウーマン

今回のキャットウーマンの反骨精神満点なところはこのキャラにはまってたと思う。

正直、彼女はちょっと背が低いんじゃないかなーと思ったけど…アン・ハサウェイみたいな美女もいいけど、ゾーイみたいなかっこかわいいキャットウーマンは好み。

 

ただ、あの泥棒猫LOOKはなー。

あの帽子みたいなやつもっといいデザインあったろうにと思います。ゴッサムのあれだけ荒れてて貧しい街なら、あの見た目がちょうどよかったのかな。

 

でもこのブルースは、正直彼女には勿体無い。笑

セレーナの家覗いたり、部屋で名前チェックしたり、こういうのバットマンじゃなかったら完全にやばいやつがやること。笑

ちなみに、リドラーが最初のターゲットの家をのぞいてたこととの対比も、ヒーローとヴィランの存在は紙一重だっていう今作のキー。

 

 

コリン・ファレルどこ??

今作の第2のヴィランはペンギン。

このキャラクターは、典型的な”悪いクラブの悪いオーナー”。

 

コリン・ファレルがキャスティングされてから、あのイケメンがどんなペンギンになるのかと思っていたけど、もはや特定不可能なレベルのメイクアップが施されていて、ちょっと残念。

コリン・ファレルのいいところを全て覆い隠してしまっていた感じ。

 

アベンジャーズのサノスや、『パイレーツ・オブ・カリビアン』のイカ船長だって、俳優の面影が感じられるのに、このペンギンは一ミリも感じられなかった!!

 

かつてのコリンファンであった私は、ペンギンの中に彼の存在をなんとか確認しようと、彼が出てくるシーンはかなり気をつけて観てたんだけど、私がコリンっぽさをほんの一瞬感じたのは、バットマンにハイウェイで追いかけられるシーン。

フォーン・ブース』でのビビり顔(どんなだよ)を彷彿とさせる表情にちょっとだけ彼を観た感じ。

 

でも、それだけ。

 

ペンギンのキャラクターは悪さと滑稽さが絶妙で良かったと思うけど、コリン・ファレルじゃなきゃいけなかったの??ねぇ??

もっと年上の、小太りで悪顔ないい役者いただろうに。。。と思わずにはいられない。

正直、特殊メイクもちょっと無理やり感があって、少し残念だったのでした。

 

 

ヴィラン??リドラー

最後までなかなか正体がわからないリドラー。

セブン』みたいに、「実はここにいた」系かと思いきや、突然現れる彼。ポール・ダノの不気味で読めない表情は、いやーな感じで最高。

今作は、ヒーローもヴィランもいちいちエモいのよ。笑

 

リドラーって、うざめで派手なキャラクター(ジム・キャリーのイメージかも)ってイメージだったんだけど、今作のリドラーはなぞなぞが大好きなこと以外ちょっとイメージは違った。

彼の使うポストカード、いちいち可愛かったなー。

 

そんなヴィラン・リドラーがやっていることも、”悪を抹殺したい”という意味ではバットマンと同じで、ここで問題になるのはそのやり方だけ。

現代人って、結局そういう時代に生きてるのよね。

みんながみんな自分は正しいと思ってるわけで、それを支持する自分なりの理由もある。でも、どんな手を使ってそれを主張するか、行動するかってところが今作でも焦点。

過激ながらも当然リドラーを支持する”正義感”のある市民(フォロワー)はいるし。(twitchが株価市場を乗っ取れる時代ですもんね。)

 

最後、市長の集会でバットマンは市民を助けるけど、リドラーは一掃しようとしていたってところがコントラストだったんでしょう。

あの洪水のシーン、津波を彷彿とさせる怖さがあったな…

 

ただね、今回謎解き(サスペンス感)で最後まで床にある地図を見つけられなかったのはなんかなー。てかおそらく普通だったら見つからないだろー、と思って見てた。

あの凶器が床張りの道具だったとしても、そこで「じゃあ床めくってみましょうか」ってなったのが謎だったのよ。笑

 

おそらく、リドラーは今後も戻って来るんだろう。

ウェイン家を恨んでいるし、バットマンの正体も知っていそうに見えて、実は知らないっていう絶妙なところが今後キーになりそうよね。

 

余談ですが、予告編だとジョーカーらしきキャラが出てきて、バットマンと対峙か!?と思われていたけど、実際には最後の最後に声での出演のみ。

バリー・キーガン、ハマり役だと思うよ。超不評だったジャレット・レトのジョーカーも個人的には好きだったけど(マーゴット・ロビーのハーレイ・クインとバランス良かったから)、バリーの独特なクレイジーさが次世代ジョーカーとして合ってるのではないかと。

でもねー、ちょっとこのジョーカーぐちゃぐちゃなんだよねー。ビジュアルが。笑

 

ちなみに、バットマンとの対峙(本編からは削除)シーンがYouTubeで見れたんだけど、この二人の関係性がちょっとわからなかったなー。

www.youtube.com

これまた、今後の作品で今までとはちょっと違う関係性が見られるのかもしれない…