映像美とダークな世界観に引き込まれた『エイリアニスト 』の新作がネットフリックス に登場!!
1800年代後半のニューヨークが舞台の犯罪ミステリー。グラフィックな描写のリアルさと心理学を使った推理が面白くてハマったシーズン1から、ずっと待ちわびてた新作。
シーズン1のネタバレ感想はこちら↓↓
今回のストーリーは、探偵に転身したサラが主人公。
シーズン1も少年の連続殺人だったけど、今回の被害者は赤ちゃん。子供が被害者の事件ってやだよねー。今回もモヤモヤする嫌な事件だったから、さっさと終わらせたくて一気に観ました。笑
ストーリー
赤ん坊殺しの罪で死刑になった女性から、自分の赤ん坊を探すよう頼まれたラズロー。
そんな中、探偵事務所を開設したサラはスペイン領事の妻から誘拐された幼児の捜索依頼を受ける。
キャスト
ラズロー・クライズラー【ダニエル・ブリュール】
偏屈な精神科医。精神を病んだ子供の世話をするという優しい一面も持つ。
気難しいエイリアニストが、今シーズンでは少しだけ丸くなってる!?
出演作:『グッバイ、レーニン!』、『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』など
ジョン・ムーア【ルーク・エヴァンズ】
ラズローの友人でニューヨーク・タイムズの記者。ライバル紙の令状と結婚予定だが、サラを気にかける。
相変わらずのイケメン。今シーズンでは肉体美も披露。(一瞬)
出演作:『ホビットシリーズ』、『ワイルド・スピード』、『美女と野獣』など
サラ・ハワード【ダコタ・ファニング】
ニューヨーク市警初の女性職員。ラズロー達の捜査に協力するため警察の情報を手に入れる。
今シーズンのメインキャラ。気の強さに拍車がかかってるサラの活躍に注目。笑
出演作:『アイ・アム・サム』、『トワイライトシリーズ』、『オーシャンズ8』など
〜ここからネタバレあり〜
感想【ネタバレあり】
登場人物
ラズローは相変わらず偏屈なエイリアニストだけど、ジョンはタイムズ紙の記者となり、現在ライバル紙の令嬢と婚約中。NY市警を辞めて探偵に転身したサラを取り巻く事件がメインの今シーズン。今度のサラは補佐ではなく自ら犯人に立ち向かっていく。シーズン1とは立場逆転で、ラズローとジョンはサラの捜査をアシストするといった感じ。
でも、なぜか元の設定と関係なくなっちゃってるところも…
元々片腕が悪いラズローだったけど、今回そんな様子は一切無し。あのおしゃれな杖も使わないし。ラズロー特有のウザイ心理分析も今シーズンは控えめだった気が。てか、捜査に関してラズローの活躍が少ない。そこはちょっと残念。
前作のキーキャラクターだったルーズベルトは全然出てこず。1話でチラッと名前が出てくるくらい。終始大活躍だった悪警官バーンズが、今シーズンで少しいいやつに見えた。あの俳優さん、憎たらしい感じがうまかったなー(口髭がまた似合ってる。)。
ジョンは、今シーズンでやっと想いが報われてサラと両思いになるんだけど、そもそも婚約してるのにまだサラのことを未練がましく追いかけるのも謎だし、サラも自立した強い女性になりたいのかもしれないけど、強がりな嫌な女になっちゃってた気もする。笑
最終的にジョンはバイオレットと結婚することになるんだけど、結局この方が良かったと思う。最終的に一緒にならない方がお互いのためになるみたいな関係ってあるよね。そんなタイプだよこの二人は。(え)
そういえば、ラズローのもとで働いていたサイラスはバーの店主になってたし、姪はライターに。前回女装させられてた少年スティービーはすっかり青年スティービーに(別の俳優だったけど)。
女性が活躍する捜査
今回はサラが始めた探偵事務所の事件がベースになったストーリー。サラ以外にもアシスタントであるビッツィーが潜入捜査をしていたり、犯人も女性だから必然的に”ガールズパワー”な作品になってる。
サラにフラれたジョンが婚約したお金持ちの令嬢(いつもおしゃれして美味しいもの食べてて小型犬飼ってるタイプ。笑)と、独り身でキャリアに邁進するサラとのコントラストは明らか。サラが自立した強い女性として描かれてはいるんだけど、ジョンへの気持ちに気付き始めるサラが、結婚して家族を持つ幸せと探偵としての仕事に集中することとの間で迷う姿はすごく共感できた。
一方で、赤ん坊を奪われる母親は、無力でただ泣き叫ぶことしか出来ない「かよわい存在」として描かれているのはちょっとなー。
婚約パーティでサラに婚約者バイオレットは相応しくないって言われた時に返したジョンの言葉は刺さる。いつも強がっているサラも、痛いところを突かれたって感じだったね。笑
当時のニューヨークはまだ何事も男性主流だったはずだし、今も昔も女性は母としての幸せとキャリアの成功どちらも手に入れられないって言う社会のスタンダードはある。その間で揺れ動くサラに共感した人は多かったはず。
ちなみに、個人的には相変わらずおしゃれな女性キャスト(サラとかリジーとか)のドレスにも注目!カレン・ストラットン教授の囲み目アイラインメイクもよかったなー。
悲し過ぎる事件
今回は犯人も女性。凶悪犯は男性なことが多いけど、この事件みたいに女性だって十分卑劣な犯罪者になれる。リジーは最初ピュアな可愛い女性だと思ったのに、そこからの豹変ぶりにはゾッとした。確かにこの人なんか怪しかったんだよなー。
やってることは病的なんだけど、動機が悲しい。子供が欲しくてもできないとか死産だったとかで、精神的に大きな影響を受ける女性は多いだろうし、医療の整ってなかった時代は余計多かったはず。一方でリジーみたいに子供に執着して、子供を自分の分身とか所有物とかって思っちゃう人もいるだろうけど。(ギャングのボス最初はすごい嫌なやつだったけど、最後までリジーに尽くす姿はちょっとだけかっこいい。)
悪の根源はリジーの母親なんだけど、子供が欲しいわけじゃないのに女性の役目として子供を産んで(たとしたら)、その重圧から抜け出したかった母親の精神状態も理解出来なくはないかも。女性だから、妻だから、子供を産んで育てることが当然だという世間のステレオタイプはあっても、それに向いてる人向いてない人はいるからね、結局。(男性がみんな機械に強いわけでも、DIYが得意なわけでもないのと同様)
なんの罪もない幼い子供がターゲットになって、犯人の都合で勝手に殺されるっていうのも十分ダークで気が滅入る内容ではあったけど、一番泣けたのは双子のマーカスがグーグーに打たれて死んじゃうシーン。ルシアスが「一人にしないでくれ」て言うのがかわいそうでかわいそうで…
それにもう今後のシリーズにマーカスの出番がないのかと思うと…辛い。泣
まとめ
ダークな雰囲気はシーズン2から引き続きなんだけど、ストーリー的には前作ほど引き込まれる要素がなかった気がする。前回も結末があっけなかったのは若干不満ではあったけど、今回は最後にいろんな疑問が残る。
犯人リジーについても謎多め。なんであの病院で働いてたの?なんでわざわざ高貴な家の子供ばっかり狙ってたの(病院の患者だったとしても、追われるリスク高過ぎ)??そもそも娘クララの父親は誰だったの???リジーが犯人だって分かってから、後半は彼女を捕まえることが焦点になるんだけど、リジー一切変装とかしてないし、新聞に顔が載ってたなら通行人から通報ありそうなもんだけどね。笑
それに、このドラマはエイリアニストの心理分析がシーズン1での見所だったのに、今回はその要素は格段に少ない!そこはもったいなかったなー。犯人も早い段階で分かったことで、後半ちょっとダラダラしてしちゃった感じ。
ラストで繁盛し始めた探偵事務所でサラが言う一言は感動的。何事も変化・進化していくんだし、それでいいんだ。最後に出てくるキティ・バーンズは、警視総監バーンズの娘の一人かな。(病院で、娘が5人いるって言ってたし)
最後、ラズロー、ジョンは新しい生活を始めることになって、3人ともバラバラの道を進んでいくことになるわけだけど、終わり方からしてもうこれで完結か、当分続編は制作されなそう…
でも、これまでのシーズンで、ラズローメイン、サラメインの事件が来たから、次はジョンがメインの事件はどうですかね?ラズローの新恋人カレン・ストラットン教授も加わって推理するのもあり!
とにかくこのまま終わりになっては欲しくない!続編求ム!!!1笑
実際に起きた類似事件
女性が自分の子供が欲しいがために事件を起こすケースは実はそんなに珍しい話じゃない。日本でも角田光代の『八日目の蝉』て言う小説があるけど、赤ちゃんを誘拐して自分の子供として育てるって言うのは意外と実際にもある事件。
Netflixドキュメンタリー『未解決ミステリー』のシリーズ2で、「奪われた子供たち」て言う回でも子供の誘拐について似た事例が紹介されています。(泣ける。悲し過ぎる。)
また、この事件はそれを遥かに上回る残虐さながら同じような動機による事件です。
2004年、臨月を迎えたボビー・ジョー・スティネットを殺害してお腹の子供を取り出し自分の子供として奪おうとしたリサ・モンゴメリー死刑囚は、最近死刑の執行日(2020年12月8日に執行予定)が決まって再度話題に。アメリカの連邦政府によって女性の死刑が執行された例はわずかだけど、今回は1953年以来約70年ぶりのこと。
評価
☆星 3.5 個☆
※シーズン1と比べてやや物足りなさの残るストーリー。でも俳優人の演技は秀逸!!
※エイリアニストとしての見所である心理分析が少なめで残念。