『101匹わんちゃん』のヴィラン、クルエラのスピンオフ。
最近は『ジョーカー』や『ヴェノム』など、ヴィランが主人公のスピンオフが増えてて、また別の目線でスーパーヒーローのユニバースを楽しめるのは魅力。
それにヴィランのバックストーリーの方が深みがあって面白かったりする。
もうすでに続編の制作も囁かれている今作。
これだけ人気が出ればそりゃもっと作りたくなるよね、制作側としては。笑
『プラダを着た悪魔』を彷彿とさせるおしゃれな雰囲気と、ノリのいいパンクロックなミュージック。
主役のエマ・ストーンは個人的に『アメイジング・スパイダーマン』のMJ役のイメージが強くて、クルエラ役って聞いてちょっとイメージ違うなーって思ってたけど、ノリノリな演技はハマってた!
批評家からも反応は結構良いみたいだけど、個人的にはちょっと予想と違う内容だったかな…
ストーリーは面白いのに、「これは違うだろ〜」と思ってしまう設定もチラホラ。観賞後はちょっと複雑な気持ちになってしまいました。
理由は後ほど…
あらすじ
アートが大好きで、いつかファッションの世界で活躍することを夢見るエステラ。
何もかもうまくいかない日々の中で、ある日カリスマデザイナーのバロネスと出会う。
キャスト
エステラ/クルエラ・ド・ヴィル【エマ・ストーン】
辛い過去を持つが、ロンドンでファッションの仕事をするために奮闘する。
クルエラが持つ二面性を鮮やかに演じ分けていた彼女。
エステラとしても登場したはずなのに、クルエラのインパクトが強すぎてエステラのイメージが一瞬でぶっ飛んでしまった。笑
幼少時代もとにかくかわいい!!(子役ちゃんの名前が見つからず…)
出演作:『ヘルプ~心がつなぐストーリー~』、『ラ・ラ・ランド』など
バロネス【エマ・トンプソン】
ロンドンの超人気ファッションデザイナー。
彼女の役の振れ幅ほんとにすごい。どんなドレスも着こなす美しさも素敵。
今作でもクルエラを生み出したキーキャラクターをコミカルかつエレガントに演じきっています。
出演作:『ハリー・ポッター』、『ラブ・アクチュアリー』など
ジャスパー【ジョエル・フライ】&ホーレス【ポール・ウォルター・ハウザー】
オリジナルにも登場するクルエラの手下たち。
今作では幼なじみとして彼女を手伝う。
ジョエル・フライ出演作:『ゲーム・オブ・スローンズ』、『ラブ、ウェディング、リピート』など
ポール・ウォルター・ハウザー出演作:『リチャード・ジュエル』など
感想【ネタバレあり】
豪華なキャスト・衣装・音楽!!
イギリスを代表する演技は女優のエマ・トンプソンと、アメリカの実力派女優エマ・ストーンのWエマの共演も今作の魅力。
ストーリーも面白い。今作で明かされたクルエラの生い立ちと、のちの手下ジャスパー&ホーレスとの意外な関係。(「家族」と言っておきながら二人を使いっぱしるクルエラ笑)ジャスパーとクルエラは良い感じになりそうな雰囲気まであったし。
音楽にはWHOやクイーンの楽曲が使用され、クルエラの登場に合わせてクールでエッジィになっていくところがカッコ良かった!
エステラが働く百貨店リヴァティーの雰囲気や、バロネスのパーティー、クールな衣装にもワクワク。
ただ、オリジナルで強調されてるクルエラの毛皮への愛は、予想通り今作では封印。(2021年だからね)
なんなら最後はボロネスの愛犬ダルメシアン3匹を引き取って、子犬をアニタとロジャーにプレゼントするっていう粋なサプライズまで。
でも、クルエラの時やたらアイメイクが濃くて顔が青白いのはオリジナルに忠実だったかも!笑
バロネスはヴィランの母にふさわしい傲慢っぷりで、『プラダを着た悪魔』のミランダとは一味違う”嫌なボス”。
この後原作アニメも見直したんだけど、本当嫌な女だわ。悪女だわ。(意味違う)
しかも、手下のジャスパーとホーレスの扱いが酷すぎる。笑
ただ、原作だと手下の二人は明らかに”雇われ悪党”だから、今作での関係性とは程遠い。
個人的なお気に入りは、キーキャラクターだったバロネスの執事ジョン。
幼少時代にも会ってるし、クルエラの父はジョンなのではと思っていたわたし。「まさかそのスキンヘッドの下にはエステラのような白黒ヘアが!?」なんて予想してましたが、全然違ったね。笑
ちなみにジョン役のマーク・ストロングは『シャザム!』、『1917 命をかけた伝令』などに出演の渋イケメン。素敵。
オリジナルとの比較
これは個人的な好みだけど、私はオリジナルを基にスピンオフやリメイクをするなら元々の設定を尊重してほしいと思うタイプなので、クルエラがヴィランとして出来上がってる『101匹わんちゃん』が1961年公開なのに、1970年代を舞台に今作を作っている時点で結構な違和感を感じました。
おそらく、劇中に多く登場するパンクロックミュージックで作品を盛り上げたかった製作者側の意思があって、パンクが流行った1970年代を舞台にしたんだろうけど。
あと、70年代と言いつつ時代背景が定まっていない感じも…
後半クルエラがバロネスの正体を知って、郵便配達のバイクで高速を突っ走るシーンでは、バックに高層ビルが見えたり、すごく”今っぽい”ハイウェイにもやや興醒め。
でもディズニーだからね、ファンタジーの世界だから。多目に見るべきなんでしょう。笑
かっこよかったし、盛り上がったし、音楽との融合はやっぱり楽しいんだけどね♪
動物とCG
近年の実写版でディズニーが動物をCGにするようになって久しいですが、2019年公開の実写版『わんわん物語』が全然ヒットしなかったのも、映画版『キャッツ』(これはディズニーじゃないけど)が酷評だったのも、動物のCGの使い過ぎのせいだと思うの。
90年代に人気だった動物映画の『ベートーベン』とか、旧『ドクター・ドリトル』みたいに動物に芸を教える、みたいなことが映像技術の進化で必要なくなったし、動物愛護の観点もあるのは確かだけど、こんなに多くのシーンで明らかなCGを使われるとちょっとがっかりしてしまう。
近未来的な作品にCGが使われていることには全く違和感ないんだけど、見慣れた動物のCGは全然かわいく思えないのがあまりにも残念。(今作は動物が大活躍しているから尚更)
批評家からの評価でもそのことに言及しているレビューが多く見られたので、同様の意見の人も多いのでは…?
まとめ
今作は、「原作『101匹わんちゃん』を見たことないけど、クルエラが『101匹わんちゃん』のヴィランだってことは知ってる」、もしくは「大昔に原作を見た」みたいな人(自分含む)が今見て、「クルエラかっこいいー!」ってなる作品ではあると思う。
ただ、原作をしっかり覚えてて、特にこの作品のファンだったりする人は「???」てなるかも。そもそも彼女は”ファッション好き”な人ってよりは”毛皮好きな人”だったのに、今作では一切クルエラと「毛皮」について触れてないしね。
でも、音楽とファッションの融合、俳優たちの大袈裟でキュートな演技が最高です!!
これが今後シリーズ化するんだとしたら、もっといっぱい犬が見たい!!
評価
☆星 3.3 個/ 5 個☆
※オリジナルとのタイムラインの違いに納得いかず…
※ポップでロックな音楽と衣装は見応えあり!